キューバ

2007年11月13日 (火)

「漫画」をスペイン語で何と言うか?

▼¿Por qué el nombre “Historieta”?”
(何故“Historieta”という名前なのか?)
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▼“La historieta en el mundo: El tebeo español”
(世界の漫画:スペインのtebeo)
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 「漫画」をスペイン語で何というか?以前、当ブログ2005年10月31日付け記事で手持ちの西和中辞典に載ってた「historieta(イストリエタ)」と「tebeo(テベオ)」の2つの単語の定義を引用しましたが、その後スペイン語の漫画関連サイトをあちこち眺めていると、「tebeo」の名前を冠していても紹介されている作品は大人っぽいものがある…。「historieta」と「tebeo」の使い分けは内容よりもむしろ、場所(ラテンアメリカとスペイン)なんじゃないか…。そんなことを思っていた矢先、その疑問を解決する日がやって参りました。EducaRed ArgentinaというサイトのHistorietas(漫画)コーナーの中に「El fascinante mundo de la historieta(漫画の魅惑的な世界)」というシリーズ連載があって、そこで「historieta」と「tebeo」について、それぞれのネーミングの由来を漫画で解説してありました。(「Virus Mental*」2007年9月26日付け記事で知りました。)

 要約しますと、「historieta(複数形はhistorietas)」は「historia(歴史、物語の意)」の縮小語、「tebeo(複数形はtebeos)」の由来はスペインのかつての人気漫画雑誌「TBO(テベオ)」。「TBO」の語源は「Te veo.(テ・ベオ、私は君を見ている)」なのですが、これを略して「TVO」と表記すると「テウベオ」と読まれてしまうから「TBO」と表記されたのだそうです。因みに、スペイン語のアルファベットでは、「B」は「ベ」、「V」は「ウベ」と読みます。英語と違い、どちらも「バ行」音で発音します。(参考文献:『はじめてのスペイン語』東谷穎人著、講談社新書)


 これだけでは簡潔過ぎますので、上でご紹介した2本漫画を翻訳してみました。ところどころ言葉を補ったり意訳したりしていますが、間違いがありましたらごめんなさい。やはり翻訳って難しいですね…。

--何故“Historieta”という名前なのか?--
(原案:B.D.、シナリオ:FABIO BLANCO、、作画:CACHO MANDRAFINA)
(1)手紙「拝啓、ホームズ様:何故Historietaという単語なのか、調査して頂きたいのですが」ホームズ「うーむ…これはベーカー街にしては異例の事件だな。」(2)イエロー・キッド「絵を連続させてひとつの物語を構成する、あまり重要とされない、簡略化した物語」ホームズ「おお、アイルランドの子供は辞書の定義を持ってきたか。」(3)リトル・ニモ「夢の世界では、はじめてのHistorietaは新聞の小さなスペースに登場したって言ってたよ、ボス。」ホームズ「考慮に入れとくよ、おやすみ。」(4)バスター・ブラウン「決定!」紙「Historia(歴史、物語の意)の縮小語。Historieta達はちっぽけな割り当ての中、新聞等の出版物のおかげで進化した。簡略化した続きコマ漫画は、やがてコミックブックやグラフィックノベルを育てた。教訓:Historietaは粗悪な意味の単語ではない。何故なら、大きな物語は沢山のより小さな物語で作られるから。」(5)君の決定を受け入れよう、バスター。しかし…君の犬を呼んでくれ…吠えないということは、噛み付くと推測するが…」(6)ワトソン「初歩(elemental)ですかな、ホームズ?」ホームズ「歯牙(dental)だよ、ワトソン君。」
--何故“TEBEO”なのか?--
(シリーズ原案:BANDA DIBUJADA、シナリオ・作画:JAN)
(1)作者「やあ…いや、私はTEBEOは描いてないよ。PAJARITA(パハリタ)を作っているだけさ…(注!…日本では"ORIGAMI"という。)」(2)さて行くか、着替えたよ…こんな風に。これで私はTEBEOの登場人物だ!」(3)「TEBEOは"TE VEO(私は君を見ている)"から来ているんだ。とはいえ、"V"の文字はこの場合"B(長いB)"と表記しているんだ。でないと"TEUVEO"になっちゃって(注!…スペインでは"UV"のことを"短いV"と言う)、うまくくっつかないんだ」(4)ナレーション「スペインで最も古い漫画雑誌のひとつが1917年に生まれ、TBOのロゴを冠しており、"TEBEO"という発音で読まれた。」作者「カフェオレ一杯とTEBEO一冊…」(5)作者「TBOという漫画雑誌は、我々の祖父母・両親・おじさんおばさんの時代にはとてもポピュラーだった。そして、その登場人物は当時の社会を反映していた。"LA FAMILIA ULISES(ユリセス一家)"なんかはずっと、最も親しまれたものだった…」窓口「どうぞ」(6)ナレーション「ちがう、TB0って言ったんじゃないよ、TEBEOって言ったんだ」窓口「?」(7)「現在、cómicsと言う方が多いだろうか…おそらく、よりモダンな響きがするからだろうか、しかし、どんな言葉がより格好いい言葉として残るだろうか?」作者「SUPERLÓPEZのTEBEO一冊。」窓口「えっと…これ?」

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2005年11月22日 (火)

アルゼンチンのWEB漫画情報誌

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Sonaste Maneco



 アルゼンチンの出版社「La Bañadera del Cómic」よりpdfファイルで提供されているWEBマガジン。季刊でちゃくちゃくと刊行されて、今回で6号め。それぞれの表紙をクリックすると、圧縮ファイル(zip形式)がダウンロードされます。大して圧縮されないのにzip化しているのは、検索よけでしょうか。


 内容はというと、アルゼンチンに限らず世界中の漫画の話題を扱っています。スペイン語で書かれているのでなかなか読めないのですが、画像を見るだけでも十分楽しめます。


 今号の特集は、アルゼンチンはマルデルプラタで11月4日-5日に開催された米州サミットを受けての、ラテンアメリカの漫画家特集。当ブログ10月31日付け記事で取り上げたキューバの漫画についても、「Elpidio Valdés」「Vampiros」といった作品に多くのページを割いていました。この2作品はアニメ化もされているようで、いつか是非見てみたいです。


 その他、ビートルズのアニメ特集や、新刊や映画化の話題、古い作品の紹介等々、盛りだくさんの内容でした。毎号120-130ページ、容量にして7~8メガバイトのボリュームで、いやもう、世界には沢山の国々と沢山の漫画があるのだということを痛感させられます。



 以前、こちらでも軽く触れたように、アルゼンチンは実はかなりの漫画大国。もしかしたら、現地では日本やアメリカのものに押されているかもしれませんが、ネットでは多くの作品が紹介されています。日本で知られているアルゼンチンの漫画といえば、キャラクターグッズも発売されている「MAFALDA(マファルダ、作:Quino)」と、日本・カナダ合作でアニメ化された「CYBERSIX(サイバーシックス、シナリオ:Carlos Trillo、画:Carlos Meglia)」の2つでしょうか。「Sonaste Maneco」では、前者のファンなら2号にQuino氏の特集記事が、後者のファンなら4号と今号にCarlos Meglia氏のフランスでの新作「Canari(シナリオ:Crisse)」の紹介が載っていたので、チェックしてみる価値はあるかと思います。…と、思いきや、現在1号と2号はサーバーの容量不足でファイルをupできないとのこと。今後サーバーを増強する予定は無いのかな…

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2005年10月31日 (月)

キューバの漫画の画像

 キューバの漫画について、とりあえず画像が載っているサイトを2つ見つけたのでご紹介します。文章はまだ読んでいません。スペイン語はまだ勉強したてなので、なかなか読めずにいます。なお、「Historieta」とは、スペイン語で「漫画」のこと。「漫画」を表すスペイン語訳にはもうひとつ「tebeo」というのがあって、両者の違いは、辞書によると「tebeo」が「(子供向けの)漫画本,漫画雑誌,絵本.」で、「historieta」が「1.逸話,挿話.2.劇画,絵物語.」なのだそうです。ちなみに、今私が使っている辞書は小学館の西和中辞典、1990年発行(お下がりの品なので、少々古いのです)。

Historieta cubana
http://www.geocities.com/cubancomics/


A Cuba - Lovelycuba - Historietas cubana
http://www.lovelycuba.com/historieta_esp.htm


 キューバといえば、サルサ等のダンスや音楽で陽気なイメージがありますが、一方で前回のエントリで取り上げた漫画「SPY vs SPY」の作者の評伝や、小説家レイナルド・アレナスの自伝「夜になるまえに」を読むと、ちょっとでもハミ出たことを描いたり書いたりとすると国にいられなくなってしまうような怖いイメージもあります。しかし、これは私の少ない知識によるものなので、実際には違う部分があるかも知れません。(でも、そこまでに至らなくても、政治的な話は日本でもやっぱ怖いですよね。怖いので具体例は挙げられませんが…)

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2005年10月30日 (日)

SPY vs SPY THE COMPLETE CASEBOOK

"SPY vs SPY THE COMPLETE CASEBOOK"
著者:Antonio Prohias(1921-1998)
出版社:WATSON GUPTILL

▼表紙▼裏表紙
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 「SPY vs SPY」は、アメリカは「MAD MAGAZINE」で1961年に連載が開始された、白黒スパイがあの手この手で謀略の限りを尽くして戦い合う、セリフの無い漫画。この本は連載40周年を記念して作られたトリビュート本で、「SPY vs SPY」の漫画に関してのあらゆる情報を網羅した分厚い1冊です。

 ファミコンやゲームボーイでゲーム化されたので、このキャラクターに見覚えのある方は多いことと思います。或いは、ケーブルテレビ等で放映されている「MAD TV」の最後の方で、数十秒のアニメーションが流れているのを目にしたことのある方もいらっしゃるかもしれません。また、ネットのあちこちでは海外の「Mountain Dew」のCM映像が話題になっていました(→こちら)。


 さてこの本、裏表紙が何とも強烈。キューバの指導者カストロ議長の吸っている葉巻には「MAD」誌のトレードマークの坊やのラベルが貼ってあります。いちばん上には「The Cold War May Be Over, But The Lukewarm War Rages On!」(冷戦は終わったかも知れないが、なまぬるい戦争が荒れ狂う!)との一文が。因みにこの本の出版年は2001年、“9.11”の一年前。今ならまた違った文面になったかもしれません。

 この本に収められた当時の「MAD」編集者のコラムによると、作者のAntonio Prohiasは、もともとはキューバのベテラン漫画家。1938年にデビューし、新聞の風刺漫画や「El Hombre Siniestro(英語で言えばThe Sinister Man、Sinisterとは不吉な、意地悪なという意味)」等のブラックユーモア作品を発表し、多くの漫画賞を受賞しました。また、1958年と1959年にはキューバ漫画家協会の会長も務めました。しかし、カストロ及び共産主義者を批判する風刺漫画を新聞に発表したために、カストロの不興を買い、新聞は没収され、人々から非難や脅迫を受け、1960年5月にキューバを出国、ニューヨークに渡りました。そして昼間は衣料品工場で働き、夜は「SPY vs SPY」の第1回の原稿を描き、同年7月に通訳(英語が喋れないから)に娘を伴って「MAD」編集部に持ち込んだところ好評を博し、翌年の1月号から連載が始まったのだそうです。

 「SPY vs SPY」の着想を得たのは、カストロを支持しない者はスパイ扱いされたことに起因したとのこと。また、Prohiasはキューバ時代からサイレント漫画を描いていましたが、そのことによりアメリカで言葉の問題を克服することが出来たとか。ただし、作品を創る上では克服できても、日常生活では英語はあまり喋れなかったそうです。連載当初から3年間、冒頭の煽り文句には、作者がキューバの有名なアンチ・カストロ漫画家でアメリカに亡命してきたことが書いてありました。どういういきさつで煽り文句を廃止したのかは分かりませんが、そういう背景を知らなくても、十分に面白く読める作品だど思います。私自身、過去にこちらで書いたように、この作品にそんないきさつがあったなんて知らなかったですし。


 本書の内容は、以下の通り。
▼漫画、イラスト、写真
・Antonio Prohiasによる「SPY vs SPY」全241話
・「MAD」誌に発表した他の作品
・キューバ時代の漫画作品
・未発表原稿、スケッチ
・グッズ一覧
・他の漫画家による「SPY vs SPY」
▼文章記事(謝辞、Antonio Prohiasの談話や写真を交えたコラム、エッセイ)
・Acknowledgements (Charles Kochman)
・Introduction (Grant Geissman)
・A Cartoonist in Times of Revolution and Censorship(Fabiola Santiago)
・Snapshots of My Father (Marta Rosa Pizarro)
・The Old Pro (Nick Meglin)
・Yin and Yang, Cold War Style (Art Spiegelman)
・The Other Spy Guy (Duck Edwing)
・"Spy vs. Spy" and Me (Peter Kuper)


 この「SPY vs SPY」という漫画、毎回お互いを陥れる策略やメカデザインの手が込んでいて、よくもまぁ毎回毎回、バラエティに富んだおちょくりネタを考えたものだなぁと、そのおちょくりに懸ける職人魂に敬服しました。キューバ時代の作品や、アメリカ時代の他の作品もいくつか載っているのですが、一貫してあらゆるものをおちょくっていました。また、几帳面な作画や没にされたキャラクターへのオマージュのイラストを見ていると、漫画に対する深い熱意と執着と愛情が感じられました。

 また、ギャグ作りへの強いこだわりが感じられたのが、「gray spy」に関するエピソード。白黒スパイの双方を陥れるファム・ファタールとして1962年に灰色スパイが登場するのですが、何回か登場した後、1965年を最後に姿を消します。その理由は「(展開が)ルーチン化してしまい、オチが予測できるようになってしまった」からだそうで、女性キャラがいた方が場が華やぐし読者の気を引くと思うのだけれど(もっとも、gray spyはあまり美人ではないけれど)、「キャラ」よりも「ギャグ」を取るProhias氏のこだわりがカッコいい!と思いました。


 Antonio Prohiasが晩年に体調を崩して以降、「Spy vs Spy」は他の作家によって描かれるようになりました。たまに「gray spy」も出てきます。現在「MAD」誌ではPeter Kuperという方が描いています。ステンシルやスプレーを用いた絵はとても良く出来ていて、特にカラーのものはすごく綺麗なんですが、内容がちょっと残虐過ぎて抵抗があるなぁ…




【2006年11月6日夜・追記】

 先日、Wikipedia「スパイvsスパイ」の項目に、このエントリを切り貼りしてところどころ表記を書き換えたように見受けられる文章が、参照元の記載も無しにUPされたため、この欄に抗議文を掲載しました。その結果、Wikipediaの文章は削除され、執筆者の方からはお詫びのメールも頂いたので、その抗議文は削除しました。

 なので、第三者からの検証が不可能な状態(当分はgoogleのキャッシュに残っているかも知れませんが)ではありますが、それでも、こちらの削除依頼の議論に対して異議を述べさせて頂きます。執筆者の方の「翻案転載に当たるかどうかコミュニティの判断を仰ぎたく」という提案に対して、一部表記を変えている以上、確かに「転載」には当たらないでしょう。しかし「翻案」に当たるか当たらないかについては、明言されずじまいでした。「問題があるとすればシングルソースであると言うことくらい」とのことですが、もし複数のソースがあるなら、私は私のエントリからのソース部分についてのみ抗議したことでしょう。そして、著作権についての議論なのに「表現を細かく見てませんが」というのは一体どういうことなのでしょう。著作権法第二条第1項第一号において定義されている通り、著作物とは「思想又は感情を創作的に表現したもの」であり、表現を保護する権利なのではないのですか。

 このエントリは著作権法第十条第1項第一号の「言語の著作物」にあたるものであり、第2項「事実の伝達にすぎない雑報」のつもりはありません。また、当エントリから抜き書きされた作者・作品に関する記述に対しても、これが誰でも結果的には同じ記述になってしまうような事実の列記に過ぎないのであれば「ある事実を得るためになされた努力を著作権法は保護しませんから」という意見も成り立つでしょう。しかし、同じ作品・作家について語っても、英語版Wikipediaの記述と当エントリとではかなり態様が異なっています。私は、私なりの感想や考察を書くために原著から選択して翻訳・要約したのであり、その記述や選択において創作性を主張します。だから、このエントリから抜粋して一部表記を変えたかのような文章に対し、その類似性を指摘し抗議したのです。

 しかし、Wikipediaのコミュニティの方々の考えでは、当エントリを切り貼りした文章と内容の類似が見てとれるのに、文面を変えたら新たな著作物が誕生し、参照元の記載の必要は無いという考えなのでしょう。納得できませんが、議論する気はありません。

 当ブログのエントリについては、諸法規・諸慣行に沿った形であればご自由に利用して頂いて構いません(あえて言うまでもないことですが)が、今後、Wikipediaへの利用は一切お断り申し上げます。コミュニティの方々と意見が合わないということもありますが、それ以前に、私は私なりの感想や考察が書きたくてこのブログのエントリを書いているのであり、Wikipediaのような客観性が求められるような記事に部分的に利用されるのは不本意だからです。Wikipedia執筆者の方々におかれましては、このブログで挙げられた原著等の文献を読まれた上で執筆者なりの独自の記述をし、その文献一覧と共に記事を公開すべきなのではないかと思いますがいかがでしょうか。法的拘束力を一切持たないお願いごとではありますが、何卒ご配慮賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

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