スイス

2009年6月23日 (火)

メビウス画「The story of an idea~赤十字誕生物語~」日本語版!

 当ブログ2008年12月9日付け記事でご紹介した、メビウス(ジャン・ジロー)画による、赤十字の創設者アンリー・デュナン(1828-1910)について、そして赤十字社及び赤新月社の誕生から現在に至るまでの活動について描かれた短編漫画、ついに日本語化されたのですね!日本赤十字社のサイトの中にupされていました。

moebius_the_story_of_an_idea_jpn.jpg
●【日本赤十字社】寄付・献血・ボランティア|The story of an idea~赤十字誕生物語~(記事)
●日本語版コミックPDF

 タダで、そして日本語でメビウス画の漫画が読めるとは、なんと太っ腹な!全12ページ(漫画本編は8ページ)だから駆け足ではありますが、赤十字社及び赤新月社について知ると共に、そのバックグラウンドの世界史の勉強にもなりますよ。


《7月1日追記》
 今、本家赤十字の紹介ページを見たら、メビウスのインタビュー記事のページが追加されていました(→こちら)。

|

2008年12月20日 (土)

Euromanga Vol.1(ユーロマンガ 1号)

euromanga_vol1.jpg
Euromanga Vol.1(ユーロマンガ 1号)
(飛鳥新社、2008年9月刊)
●公式サイト

 今年の9月に創刊した、日本初のヨーロッパのマンガ、バンド・デシネの専門誌。現地で既に好評を博している作品をセレクトして、複数回に分けて掲載していくとのこと。日本にBDを紹介するにあたって、あえて「Euromanga」という呼称を用いているのだとか。創刊号に掲載されているのは「SKY-DOLL(スカイ・ドール)」「RAPACES(ラパス)」「BLACKSAD (ブラックサッド)」「BIBENDUM CELESTE(天空のビバンドム)」の4作品。1500円というリーズナブルな価格なのに、フルカラーでゴージャスな誌面です。

 マンガ以外の記事は「ユーロマンガの世界へようこそ!!」「ニコラ・ド・クレシー ─ グラフィックの愉しみ」「Euromanga の友達」の三本立て。とりわけ一つめの記事は、バンド・デシネの特徴や歴史や代表作、及び日本での紹介事例について、わかりやすくコンパクトにまとめてあり、とても参考になりました。


 4つの作品のうち「スカイ・ドール」「ブラックサッド」「天空のビバンドム」は、個人ブログで紹介されていたり、邦訳が出ていたり、同じ作者の別作品が書籍に掲載されていたりと、日本でもその評判が知られているものでしたが、「ラパス」だけは恐らく今回が初上陸であり、現地からあえて紹介したかった作品なのではないかと思われます。私は、作画のスイス人エンリコ・マリーニ(Enrico Marini)が描く予定の「Corto Maltese」(→Le Figaroの記事)が気になっていますので、いつか誌面で取り上げて下さると有り難いです。

 今号でセレクトされた4作品は、どれも設定が凝っているし、絵も素晴らしく、綺麗な彩色で十分に堪能できました。ただ、セリフやモノローグが日本語で書かれているとはいえ、もともとの文章が長いせいもあり、作品世界に入り込むのにちょっと手間取りました。これは私の個人的事情かも知れませんが、日本語で書かれていると、つい、日本のマンガを読むようなリズムで、急いで読もうとしてしまうからなのかも知れません。また、私がこれまで翻訳書を読みつけていなかったせいもあるかと思います。日本語の文章だと頭から読むけど、原文だと、固有名詞→主語→動詞→目的語→修飾語といった感じに、自分で意味を拾いに行くし、辞書を引き引き一語一語刻むように読み込むから、時間はかかるけどその分入れ込むのかも知れません。

 次号は3月刊行予定とのことで、続きが楽しみです。今号の記事「ニコラ・ド・クレシー ─ グラフィックの愉しみ」の文中には、なにげに「天空のビバンドム」のオチを示唆している箇所があるのですが(そんな大したものではありませんが)、最終的に○○○○○○うのは生首の語り部かはたまた無知に対する勝利を獲得すべく学業に励むアザラシのディエゴなのか、そしてそれはどのようにして起こるのかが気になります。


 マンガ大国日本では、外国漫画を翻訳刊行するというのは、過去の歴史に照らし合わせても非常に難しいことと思います。同じ漫画という形式であっても、日本の漫画を読むように外国のそれを読むようにはいかないですし。でも、それはどっちが良いとか悪いとかいう問題では無く、あくまでも世界が違うということなのだと思います。映画だって、駅前のTOHOシネマズでかかるものと、渋谷界隈の単館ロードショーでかかるものとでは、随分とおもむきが異なることでしょう。こうして翻訳がコツコツと刊行されていくことで、外国漫画というのがひとつのジャンルとして定着していったら良いなぁ、と思いました。

(12月29日、一部書き直し)

| | トラックバック (0)

2008年12月 9日 (火)

ネットで見かけたMoebiusの話題いくつか

 日本で有名なバンド・デシネ作家といえば、やっぱりMoebius(メビウス、またの名をJean Giraudジャン・ジロー)。というわけで、ネットで見かけたMoebiusに関する動画や漫画、話題をお伝えいたします。

▼Incal & Arzach trailers
moebius_incal_and_arzach_trailer.jpg
 youtubeにupされている、Moebius作品のパイロットアニメ。製作のいきさつ等はどこにも書いてありませんでした。『Incal』の方は、投稿者によると、Alejandro Jodorowsky(アレハンドロ・ホドロフスキー、原作のシナリオ執筆者)とMoebiusが関わっているそうなのですが、完成されなかったのがつくづく惜しまれます。『Arzach』の方は、投稿者は特に何も言っていないのですが、果たして完成版はあるのでしょうか…?日本でDVDが出ている『アルザック・ラプソディ』とは別物だと思うのですが…。

▼The story of an idea
moebius_the_story_of_an_idea.jpg
 スイスの赤十字社のサイトより。Moebiusの10ページの短編作品がpdfファイルでネットに上がっている!内容は、赤十字社及び赤新月社の誕生から現在に至るまでの活動について描かれたもの。短編アニメにもなっています(→こちら)。ネットに上がっているのは英語版ですが、漫画の冊子は英語・フランス語・スペイン語・アラビア語・中国語版が、アニメDVDは英語・フランス語・スペイン語・アラビア語がお取り寄せできるそうです(でも、注文画面を見ると、冊子にはアラビア語版は無い模様。それにしても、冊子は無料で注文できちゃうの…?)。ここは是非、日本語版も欲しいところなのですが…。

▼Salón Barcelona: Moebius
moebius_salon_barcelona.jpg
 スペインはバルセロナでの漫画イベントにて、Moebiusインタビュー動画。スペイン語で会話しています。サイン会の模様も紹介されていて、イラストを描いているところも間近で見えます。こんな風に日本に上陸する日は、果たして来るのでしょうか……?


 また、この9月に創刊された、日本初のヨーロッパ漫画誌「euromanga(ユーロマンガ)」の公式サイト(→こちら)のニュース欄(→こちら)には、Moebiusの最新情報が載っていますよ(→こちら)!他にも、バンド・デシネ関連や掲載作の関連情報が刻々とupされている模様なので、これはマメにチェックしなくては!

| | トラックバック (0)

2005年12月13日 (火)

スイス・コミックアート展に行ってきました

switzerland.jpg

 シンポジウム目当てで神奈川県は川崎市民ミュージアムで催されている「スイス・コミックアート展」に行ってきましたので、簡単にご報告や感想など。


 まず展覧会なんですが、メインの展示として、スイスの漫画家12人と日本の漫画家5人について、壁には「時間」をテーマにした描き下ろしの1枚ものの作品を展示し、ショーケースには単行本を広げて並べていました。スイス人作家の作風はといえば、シンプルで抽象的なものから線を多く書き込んだシビアなものまでさまざま。描き下ろしの作品は外国人に見せることを前提としているためか、どれもセリフはなく、絵に力を込めているようでした。しかし、これらのスイスの作家陣(及びしりあがり寿氏)の絵は良く見ると原画じゃなくて印刷っぽい……何だか大物ミュージシャンが来日してTV番組で口パクで歌ってるのに気づいた時のような、しんみりした気持ちになってしまいました。

 それにしても正直なところ、一枚の書き下ろしと単行本の見開きページだけで未知の漫画家の世界を紹介するのは厳しいと感じました。情報ばかりが先行すると、読んで楽しむという漫画の本来の楽しみからは遠ざかってしまいそうで。とりあえず有名作家の名前と作風、そしてパネル展示からスイスの漫画の歴史や現在の状況を何となくつかめたかな…?今後、何かしら読む時の参考にできればと思いました。展示作家の中では、Cosey(コゼイ)氏の作品が良かったです。この方はアングレーム国際BDフェスティバルで1982年に最優秀アルバム賞を受賞するなど(→こちら)、結構ベテランの方なのですね。

 次にシンポジウム。こちらのリンク先には午後2時からと書いてあったので間違えそうになりましたが(トップページには1時からと書いてありましたが)、他にそのような方はいらっしゃらなかったでしょうか。ネットではあまり話題になっていなかったので空いているかと思いきや、補助椅子が沢山必要になる位の盛況ぶりでした。名だたる漫画評論家の方々や漫画研究を志す学生さんが大勢いらっしゃっていたようでした。


 プログラムはマンガ学会のこちらのページをご参照下さい。中でもとりわけ、スイスのドイツ語圏の漫画雑誌「シュトラパツィーン」編集部のクリスティアン・ガッサー氏のお話が興味深かったです。(『シュトラパツィーン』誌のサイトは、こちらこちらで良いのかな…)私はてっきり、スイスは公用語が4つに分かれているから同じ出版物もも4種類刷らなきゃいけないのかと思っていたのですが、決してそんなことはなくて、言葉が違っていれば文化的にも分断されてしまうのですね。フランス語圏では、ジュネーブがコミック発祥の地(ロドルフ・テップフェールRodolphe Töpffer(1799-1846)による『版画文学"histoire en estampes"』と呼ばれる絵物語)にもかかわらず、本格的なスイス人作家の活躍はベルギーにおけるDerib(デリブ)氏やその弟子Cosey氏以降であるとのこと。一方、ドイツ語圏では従来コミック文化は無いも同然だったのが、1984年にチューリヒで「シュトラパツィーン」誌が創刊し、表現主義的・個性的・実験的なコミックが掲載されてきたとのこと。そして、こうした独・仏双方の言語圏の作家は近年、展覧会や出版による交流が図られているものの、翻訳のコスト等問題点も存在するとのことでした。やっぱり言葉の壁は大きいのですね。

 その他、森田直子氏によるテップフェールの「版画文学」における「観相学」の影響や近年のコミック作家の顔の描写に関する話、神尾達之氏による、戦後日本のマンガに見られる死の表現がもたらす記号世界への破綻や最近のマンガに目立つ傾向についての考察等、普段あまり耳にしないアカデミックな話が聞けて、貴重な一日でした。

| | トラックバック (0)

2005年8月31日 (水)

スイス・コミックアート展

スイス・コミックアート展
平成17年9月16日(金)~12月25日(日)
川崎市市民ミュージアム 2階ギャラリー

 マンガ学会ホームページ「新刊・イベント情報」で知りました。

 「現代スイスを代表するコミックアーティスト12名を紹介します」とのことで、以下のお名前が挙げられていました。

■現代スイスコミック・アーティスト
 当コーナーでは、現代スイスを代表するコミック・アーティスト12名をご紹介します。
彼らがこの展覧会のために描き下ろした1ページの作品「時間」をはじめ、アーティスティックでカラフルなアルバム(単行本)を展示、解説いたします。
(参加作家:コゼイ COSEY、マティアス・グネーム MATTHIAS GNEHM、ミックス&レミックス MIX & REMIX、ノワイヨ NOYAU、トーマス・オット THOMAS OTT、フレデリック・ペータース FREDERIK PEETERS、ナディア・ラヴィショーニ NADIA RAVISCIONI、ヘルゲ・ロイマン HELGE REUMANN、アナ・ゾマー ANNA SOMMER、トム・ティラボスコ TOM TIRABOSCO、ワゼム WAZEM、ゼップ ZEP)

 ZEP(ゼップ)という方は、バンド・デシネの大ヒット作「Titeuf」の作者ですね。2004年にアングレーム国際漫画フェスティバルでグランプリを受賞し、2005年のポスターのイラストを描いていました。(→こちら
 また、WAZEM(ワゼム)という方は最近、故Hugo Prattの作品「Les Scorpions du désert」の続編を刊行し、その紹介が、OVNI〈オヴニー、パリの日本人向けフリーペーパーで、日本でも配布してます〉のサイトに載っていました。(→こちら

  その他の作者の名前も検索してみたのですが、検索先のページが、主にドイツ語の人とフランス語の人とに分かれるようでした。スイスの公用語は、フランス語・ドイツ語・イタリア語・ロマンス語の4つだそうですが、言葉の異なる者どうしでは、どの程度コミュニケーションできるのだろう。


 ところで、スイスでも日本のマンガは人気があるようで、以前、こんなイベントをやっていました。
 湖畔の街におたく5000人集結――スイス初の大規模マンガイベント
 今年の4月下旬、レマン湖畔の街ローザンヌで開催された「ポリーマンガ(polymanga)」というイベントだそうで、公式サイトがこちら(→Polymanga(フランス語英語)にありました。(フランスのアニメ情報サイトCatsuka Newsの3月31日付け記事で知りました。)

 2種類のポスターの内、下の方のイラストには、日本の有名なマンガのキャラクターが可愛く描かれています。でも、画面中央の女の子のファッションの和風テイストには、ちょっぴり違和感があるかも…


【追記】2005年12月13日付け記事に行ってきた感想を書きましたので、良かったらそちらもご覧下さい。

| | トラックバック (0)