アルゼンチン

2009年6月29日 (月)

MORT CINDER T.1 : LES YEUX DE PLOMB

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MORT CINDER T.1 : LES YEUX DE PLOMB
(モート・シンダー 第1巻 : 鉛の眼)
シナリオ:Héctor Germán Oesterheld (エクトル・ヘルマン・オエステルヘル、1919-1978?)
画:Alberto Breccia(アルベルト・ブレッチャ、1919-1993)
初出:『MISTERIX』誌714号(1962年7月)-735号(1962年12月)、『MISTERIX SPÉCIAL』誌(1962年12月)
VERTIGE GRAPHIC社、2002年刊

《あらすじ》
 Ezra Winston(エズラ・ウィンストン)は、ロンドンで骨董商を営む老齢の男性。或る日、“SQUELETTE(スケレット、骸骨の意)”と呼ばれる出入りの男が奇妙な(蜘蛛の?)形をした魔除けのような物体を持ち込む。それをくるんでいた古新聞の見出しには「殺人犯Mort Cinder(モート・シンダー)、今日絞首刑に」の文字が躍る。Ezraの手のひらにその奇妙な形の跡が残る。Ezraの行く先々で奇妙なことが起こる。言葉を交わす相手の手や顔には同じく奇妙な形が表れ、新聞には同じ見出しが躍り、“鉛の眼”をした3人組につけ回され……。
 逃げまどうEzraは墓地に行き着く。Ezraは墓地の番人に出会い、ここがMort Cinderの埋葬されている墓地だと知る。Ezraは、“鉛の眼”の3人組がMort Cinderの墓を掘り起こしてとどめを刺そうとするのを目撃する。Ezraは3人組を阻止し、蘇生したMort Cinderと共に難を逃れ、その背景にある陰謀に立ち向かうこととなる……。
(英国が舞台の物語につき、登場人物のカナ表記は英語っぽく書きました。)

《感想など(少々ネタバレ有り)》
 アルゼンチンの古典漫画のフランス語版。シナリオを描いているのは前回のエントリで取り上げた『El Eternauta』のH.G.Oesterheld。作画はアルゼンチンの代表的な漫画家の一人であるAlberto Brecciaで、フランス語に翻訳された作品も多く刊行されています。また、今年2009年、米国アイズナー賞の「Eisner Hall of Fame (殿堂入り)」にノミネートされているとのことです(→こちら)。
 本作は、不死の男Mort Cinderをめぐる物語で全2巻の内の第1巻。時空を旅するMort Cinderと、聞き手であるEzra Winstonとの間柄は、『El Eternauta』におけるJuan Salvoと漫画シナリオライター(H.G.Oesterheldの分身)にも似ているような気がします。またその一方で、作画家のA. Brecciaは主人公Ezra Winstonの顔を自身をモデルとして描き、Mort CinderはアシスタントのHoracio Laliaがモデルだったそうです(参考→こちら)。
 A. Brecciaの画風は薄墨を使った凝ったもので、この仏語版は濃淡も再現しているのですが、おそらくモノクロ2階調の印刷だと、ところどころかすれて、あたかも昔の劣化した白黒映画のような怖い雰囲気が出てくるのではないかと思います。A. Brecciaは作品によって画風がかなり異なるのですが、一貫して見る者の恐怖心をかきたてます。個人的には、心に刺さる感じがします。Ezra WinstonとMort Cinderの逃走劇は、画風に加えて演出も恐ろしいものでした。とりわけ骸骨が転がっている地下道の場面で、追っ手の声のこだまかはたまた骸骨が蘇って語りかけるのか分からなくなってくるあたりが……。
 ストーリーの核となる陰謀は、『トワイライト・ゾーン』や『怪奇大作戦』にもありそうな気もするのですが、他者の生きてきた記憶を自分のものとしたい欲望というのは、シナリオライターであるOesterheldの願望が入っているのかどうかが気になりました。また一方で、不死の体を持ち様々な人生経験を経ているMort Cinderには、それだけ負の記憶をも積み重ねている訳で、その悲劇と苦悩は第2巻で描かれている模様です。 オチが綺麗に決まっているので一瞬、理路整然としたストーリーになっているかと思いきや、よく考えてみると冒頭の蜘蛛の形をした骨董品の意味が分からないし(読み落としがあったら申し訳ない…)、“SQUELETTE”と呼ばれる出入りの男や沼地の住人等、Ezra WinstonをMort Cinderへといざなう人物の存在は不条理で、でも不条理であるからこそ、読者である私もEzraと共にMort Cinderに惹き付けられるのかなと思いました。


(最終更新日:7月6日)

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2009年6月26日 (金)

『El Eternauta』映画化と、その件に関連して

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 当ブログ2007年6月5日付け記事でご紹介した、アルゼンチンの古典漫画『El Eternauta(エル・エテルナウタ)』の映画化について。

《参考リンク》
▼el eternauta: la película
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 アルゼンチン・イタリア・スペイン合作で、監督・脚本はルクレシア・マルテル(Lucrecia Martel)。2009年に撮影、2010年に公開したいという話だそうです。共同製作に名を連ねる会社の社名・国名・プロデューサー名を列記すると、「K&S Films(アルゼンチン、Oscar Kramer、Hugo Sigman)」「Film-Maker(イタリア、Andrea Marotti)」「El Deseo(スペイン、Pedro Almodovar、Agustin Almodovar)」。「El Deseo」は『オール・アバウト・マイ・マザー(原題:TODO SOBRE MI MADRE)』等で日本でも知られる、ペドロ&アウグスティンのアルモドバル兄弟の会社(公式サイトは→こちら)。また、「K&S Films」のサイト(→こちら)の製作中のプロジェクトを挙げたページ(→こちら)にポスターの画像と「“El Eternauta”, project based on the graphic novel by Hector German Oesterheld.」との文面がありました。

 ルクレシア・マルテル監督といえば、昨年9月の「スペイン・ラテンアメリカ映画祭」(→公式サイト)に来日するとのことだったので、、最新作『顔の無い女(原題:LA MUJER SIN CABEZA)』上映と、その後に続く監督舞台挨拶を見に行ったものでした。

 映画『顔の無い女』の作品紹介は→こちら、youtubeにupされている予告編は→こちら。主人公の婦人は本当に少年をひき逃げしたのかそれとも……というあらすじは一見、心理サスペンス映画かとも思われましたが、私の胸中に去来したのは「ああ、これは“カムフラージュ映画”なのだろうな」ということでした。“カムフラージュ映画”というのは私が勝手に作った用語ですが、由来は当ブログ2006年6月6日付け記事で取り上げた『Camouflage Comics: Dirty WarImages 』というサイト(→こちら)。要は、アルゼンチンの軍事独裁下の出来事の暗喩が込められているのだろうなと思ったのです。果たして、映画の後の質疑応答で、監督自身から自分が育った町で起こった“失踪”についての話が出て来ました。

 アルゼンチンの映画といえば、以前、レンタルDVDで『ブエノスアイレスの夜(原題:VIDAS PRIVADAS)』と言う映画を見ました。こちらも軍事独裁下に起こったことを描いていたのですが、決定的な出来事以外は思わせぶりな描写ばかりで、一体何があったのか、本当は何も無かったのではないかとも受け取れるようなストーリーになっていて、ネットの評判もあまり思わしくないようです。でも、一つ一つの出来事を丹念に追っていくと、何故姉妹は20歳も年が離れているのか、姉の夫の死因は何故あいまいなのか、あの一家は何故医者に負い目があるのか等々、ある程度推察が可能なんじゃないかという気がしてきました。そして、何故もっと分かりやすく描けなかったかというと、それだけトラウマが強いということなのだと推察します。

 『El Eternauta』のシナリオを執筆したHéctor Germán Oesterheld (エクトル・ヘルマン・オエステルヘル、1919-1977に消息不明となり、翌1978に死亡したと言われる、出展は西語版wikipedia)は、政治活動により軍事独裁政権に身柄を拘束されたと言われ、描いた漫画のシナリオが原因ではないと言われています(参考→こちらのブログのコメント欄)。しかし、H.G.Oesterheldを始めアルゼンチンの漫画を理解する際に、政治的な話には触れない訳にはいかないようにも思います。時代は違えど、当ブログ4月17日付け記事で取り上げた、世界初の長編アニメーション映画を制作したQuirino Cristiani(クリノ・クリスチャーニ)についてのドキュメンタリー映画(→公式サイト)の制作スタッフは、バックグラウンドとなるアルゼンチンの政治事件の歴史について学んだということですし(参考→こちら、pdfファイル)、それはどうしても無視できないものに思うのです。

 ただ、政治的な話、とりわけこの件のように大きなトラウマを残すものは、どうしても語りにくいところがあって、現地の人々がH.G.Oesterheldを語るとき、冒頭に挙げた参考リンクにしても、当ブログ2009年4月20日付け記事で取り上げたドキュメンタリー映画『Imaginadores』の英語字幕付きトレーラー(→こちら)にしても、政治的な話は一切出て来ません。それでも、軍事独裁政権に関する話は、近年、色んな人が色んな言葉で語りつつあり、時に映画や漫画に表れたりもしているようなので、日本にいる私にも触れることが出来るものは、極力触れていこうと思います。


(2013年11月23日追記)
すんごい遅い追記で済みません。映画『El Eternauta』はぽしゃっちゃって(監督が降りたのかな?)、でも、Oesterheldの伝記映画の企画が挙がり、その中に挿入するという話を「Variety」というサイトで見たような気がします。今、頭が働かなくて、うろ覚えの記述ですみません。いずれ丁寧に書き直したいと思います。

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2009年5月21日 (木)

スペイン(語圏)の漫画本をネット通販でお取り寄せ&雑談

 またしても当ブログの更新が途絶えてしまって、すみませんでした。この時期、そして前回のエントリの続きであれば、今回の話題は当然、メビウス来日シンポジウムの件になるだろうと皆様お思いのことと思います。が、それはまた後日にして、今回は、先日ふと思い立って、スペイン(語圏)の漫画本をネット通販で取り寄せてみましたので、そのご報告をしようと思います。


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 利用したのはスペインのネット書店で「AGAPEA」というサイト。発送に国際郵便小包を使っているせいか、送料が若干お安く感じられました。発送通知のメールが来なかったのでやきもきして問い合わせのメールを出したり(手続きは滞りなくされていました)、商品が梱包されずにそのまま段ボール箱に入っていたり(環境に優しいかも)、一部の本の表紙が若干擦れて汚れていましたが(古くから洋書を買い慣れている人から見れば十分許容範囲なのでは)、すんなりお買い物できて良かったです。

 購入した漫画本のタイトルは、以下の5冊。
·ALACK SINNER VOL.4 ENCUENTROS Y REENCUENTROS (Muñoz / Sampayo)
 アラック・シナー VOL.4 出会いと再会 (ムニョス/サンパージョ)
·HISTORIA DEL BAR VOL.1 EL BAR DE JOE (Muñoz / Sampayo)
 バーの物語 VOL.1 ジョーのバー (ムニョス/サンパージョ)
·LOS VIAJES DE JUAN SIN TIERRA 2 La Isla de Nunca Jamás (Javier de Isusi)
 土地無しフアンの旅 2 ネバー・アイランド (ハビエル・デ・イスシ)
·Las calles de arena (Paco Roca)
 砂の街 (パコ・ロカ)
·MACANUDO #2 (Liniers)
 驚くべき (リニエルス)

 5冊中4冊までは、フランス語版も出ています。アルゼンチン出身のコンビ、Muñoz / Sampayoの作品は、実はフランス語版の方が原書です。最後の1冊のアルゼンチンの4コマ漫画集も、第1巻はフランス語版が出ていることを、いまさっきamazon.frで検索して知りました。だから、スペイン(語圏)の漫画を読むなら、フランス語でかなり事足りそうな気がします。さすが漫画大国フランス。じゃぁ一体私は何でこんな手間のかかることを…。いやいや、表紙カバーの折り返しに載っている推薦文とか、ネットで見かける作者インタビューとか、原語を知っていると良いことがあるんですよ。ちゃんと読み終えるのがいつのことになるやら見当もつきませんが、いずれ感想など書ければと思います。

 なお、上の写真で漫画本を立てかけているのは、100円均一の店で買った金網を軽く折り曲げたもの。安上がりな書見台です。本を開いてページの端を大きめのメモクリップで金網に挟んで固定し、ページとにらめっこしながら、空いた両手で電子辞書を叩いたり紙の辞書を引いたりしています。使っている電子辞書は、CASIOのEX-wordのスペイン語バージョンに別売りのフランス語辞書のCD-ROMをインストールしたもの(2年前に購入)。電子辞書は熟語検索が便利ですね。また、私の機種はスペイン語の単語を変化形(動詞の活用や名詞の複数形等)から検索できるのが何より助かります。


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 まだ買ったばかりなのでパラパラめくっている段階なのですが、上記5冊の内、スペインの漫画であるJavier de IsusiのとPaco Rocaの作品に思わぬ共通点を発見しました。Javier de Isusiの「LOS VIAJES DE JUAN SIN TIERRA」シリーズは、主人公が失踪した友人を捜索して中米諸国を旅する物語なのですが、この作品が「Corto Maltese(コルト・マルテーズとかマルテーゼとかマルティーズとかマルテスと呼ばれたり、Maltésと綴られたりするシリーズものの漫画で、作者はHugo Prattと書いてユーゴ・プラットとかウーゴ・プラットとかヒューゴ・プラットと呼ばれるイタリア人)」の影響を受けていることは先刻承知していました(というか、上に挙げたコマはかなり気合いの入ったオマージュ)。しかし、Paco Rocaの「Las calles de arena」の出だしで、コミックショップにいる主人公が携帯電話の向こうでむくれている彼女へのプレゼントに購入するのがCorto Malteseの等身大フィギュアというのは、ちょっと驚きました。そんなフィギュアが実在するかどうかは不明ですが、スペインにおいては今もなお、このシリーズの人気があるのだなと思いました。日本ではアニメ映画が公開されたものの原作漫画は翻訳も出ず、あまり知られていない「Corto Maltese」ですが、漫画本編の紹介はもちろんのこと、ヨーロッパや南米における影響など、追い続けていきたいものだと思いました。


 何がどこまで出来るか心許ないし、何のためにやっているのか自分でもよく分からないのですが、こうして海外の漫画について調べたり書いたりするのは、なかなか面白いものです。書いていく過程で発見がありますし、書きながら気付くこともありますので、これからもエントリをたどたどしく綴っていく所存であります。発見の一例を挙げますと、「JUAN SIN TIERRA」というネーミングの由来は恐らく欠地王ジョンという歴史上の人物だと思うのですが、世界史の授業を真面目に聞いちゃいなかった身としては、この漫画に出会わなかったら昔のイングランドの出来事など知るよしもなかったでしょう。


《5月23日追記》
 スペイン語圏のネット書店ということで、過去に利用したことのあるアルゼンチンのサイトについても挙げておきます。
Tematika.com
Librería Santa Fe
 随分と以前のことだから記憶が薄いのですが、どちらも1回はメールのやりとりをしました。前者は住所の入力フォーマットが日本の実情と合わなくて変な内容になってしまったために、向こうから問い合わせが来ました。後者は注文してから何日もステータスに変化が無かったので、こちらから問い合わせしたのでした。後者の方は発送に国際郵便小包かDHL等の大手業者かが選べたように記憶しているのですが、残念ながらネットで見かけるアルゼンチンの郵便事情を考えると、送料が高めでも大手業者に頼んだ方が良いかなと思ったものでした。(ただ、更に微妙な問題として、アルゼンチンは本の値段自体は安めなんですよね…)
 念のために申し上げますが、冒頭に挙げたものを含め、これらのサイト紹介の目的はあくまでも日本からの購入体験のご報告といった程度のものであり、別に宣伝の意図はありません。なので、ご質問にもお答え出来ませんし、ご利用はあくまで自己責任ということで、どうかご理解下さいますよう宜しくお願い申し上げます。


(最終更新:7月5日)

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2009年4月20日 (月)

Imaginadores

 「Imaginadores(イマヒナドーレス)」とは「想像する人々」という意味。これらの動画は、youtubeにupされた、アルゼンチンの漫画家インタビューと作品紹介で構成されたドキュメンタリー映画のトレーラーです。

▼TRAILER IMAGINADORES(ご本家バージョン)
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▼Imaginadores - Trailer(ロングバージョン、英語字幕付き)
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《参考リンク》
●Imaginadores Filmmaker Interview(youtubeより、監督へのインタビュー1)
●Entrevista a Daniela Fiore - Imaginadores(youtubeより、監督へのインタビュー2)
●IMAGINADORES - Eldocumental de la historieta argentina(公式サイト)
●IMAGINADORES(公式ブログ)
●Imaginadores - cinenacional.com(アルゼンチンの映画データベースサイトより)

 アメコミやバンド・デシネの世界で活躍するアルゼンチンの漫画家は多く、また、欧米で翻訳される作品もあり(アメリカでの翻訳は少ないかも)、中には「サイバーシックス(Cybersix)」のように日本・カナダ合作でTVアニメ化される作品もあります。原作漫画の作画をされたCarlos Meglia(カルロス・メグリア)は残念なことに昨年50歳の若さで亡くなられたのですが、上記トレーラーの冒頭には生前のインタビューが出て来ます。でも、そうやって海外で紹介されるものだけが名作という訳ではなく、アルゼンチン国内で熱く愛好される作品も多々あり、そこに興味が惹かれるのです。

 このドキュメンタリー映画の中では、漫画作品を紹介するにあたって、原画のみならず、このために製作されたアニメーションがところどころ挿入されているのが面白いです。英語字幕付きロングバージョンの最後に登場する「Cybersix」のは、TVアニメとは別なものです。また、上で引用した画像の、タイトルの横でおびえている中年男性の由来は「Las puertitas del Sr. López(ロペス氏の小さな扉)」という作品。シナリオ:Carlos Trillo(カルロス・トゥリージョ)、作画:Horacio Altuna (オラシオ・アルトゥーナ)で、作品紹介は→こちら。映画化もされているそうで、読んではみたいものの入手が難しそう(泣)。Carlos Trilloという人は「サイバーシックス」の原作漫画のシナリオを書いている人でもあり、とにかく多作でひねったストーリーでラテンアメリカを描いている人という印象があります。

 トレーラーだけでは情報量も少ないのですが、発見もあります。英語字幕付きロングバージョンには、Héctor Germán OesterheldとAlberto Brecciaについて語っている映像が出てくるのですが、両者の読み仮名は、スペイン語読みではOesterheldは「オエステレルド」、Brecciaは「ブレクシア」ではないのかと思っていたところ、耳をそばだててみると、それぞれ「オエステルヘル」「ブレッチャ」と言っているように聞こえました。前者は父親がドイツ系移民だからイレギュラーな読み方をするのかと思ったのですが、後者はウルグアイ出身なのにイタリア語読みっぽく発音しているのが意外でした。

 また、アルゼンチンで「漫画」を表すスペイン語は「historieta」で、その発音は「イストリエタ」となる筈なのですが、現地の漫画家の中には「イストリータ」と発音している方々もいらっしゃる模様…。どこまでが「一般的な用法」で、どこからが「なまり」なのかは個別に精査しなければなりませんが、近年、ネットに動画や音声がupされるようになったおかげで、人名や単語をカタカナで表記する際に大いに役立つと思ったものでした。

(最終更新日:4月24日)

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2009年4月17日 (金)

アルゼンチンの昔のアニメーションいくつか

 当ブログ2月17日付け記事の続きです。アルゼンチンの昔のアニメーションをざくざくっとご紹介。


▼Quirino Cristiani(英語)
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 広島国際アニメーションフェスティバルで上映された(→こちら)、「クリノ・クリスチャーニ - 世界初の長編アニメーションの謎」の公式サイト。世界初の長編アニメーションを製作した、アルゼンチンのQuirino Cristianiについてのドキュメンタリー映画。概略やトレーラーや製作日誌があります。未公開作品や晩年のインタビュー等の貴重な映像もさることながら、未知の映像を求める製作スタッフの熱意や、発掘していく過程で直面する20世紀前半のアルゼンチンの政治的出来事、当時の風景や文化等、是非本編も見てみたいと思いました。ところで、“Qui”rino Cristianiという名前なのに、何故「“ク”リノ・クリスチャーニ」という表記にするのか疑問に思ったのですが、トレーラーの音声に耳を澄まして聞いてみると、どうも「“クィ”リーノ・クリスティアーニ」と、イタリア語読みっぽいような…。1900年、4歳の頃に家族と共にブエノス・アイレスに渡ったイタリア系移民だから、名前もイタリア語読みしているように聞こえました。
 なお、Quirino Cristianiの年譜は以下のサイトが詳しいです。
●Quirino Cristiani(スペイン語)


 ここから先は、youtubeからピックアップ。


▼El Mono relojero
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 「猿の時計屋」。上記ドキュメンタリー映画が出来る以前に、Chirisutiani監督作品で現存する唯一の作品と言われていた短編アニメーション。GON'S ANIMATION LIMBOの中のカートゥーン:アニメーション100年史(Cartoons: Cento anni di cinema d'animazione)の翻訳の中の第4章 アルゼンチン:世界初の長編アニメーションで詳しく紹介されています。


▼Dante Quinterno - Patoruzu 1930
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 Dante Quinterno(ダンテ・キンテルノ、1909-2003)による漫画「Patoruzú(パトルス)」を、作者自らが短編アニメ化。主人公のPatoruzúはテウルチェ族(南米・パタゴニア地方に住む先住民)の首長で、力持ちの正義感。1930年に「Julián de Monte Pío」という作品の脇役で初登場した後に主役に躍り出て、その名前を冠した漫画や雑誌が生まれ、1945年には子供の頃という設定の「Patoruzito(パトルシート)」というキャラクターが誕生し、近年ではTVアニメやアニメ映画が作られているそうです。youtubeにupされているこの動画は、1942年の「Upa en apuros(英語訳:Upa in Trouble)」という作品。Patoruzúの弟Upa(ウパ)が誘拐魔に狙われるというドタバタ劇です。
 なお「Patoruzú」の参考リンクは、以下の通り。
●Patoruzu || The Official Site || Los Tehuelches S.A.(公式サイト、英語・スペイン語)
●HOMENAJE AL CREADOR DE PATORUZU: DANTE QUINTERNO(非公式サイト、スペイン語)


そして、以下に「Trapito」の監督であるManuel García Ferréの1970年代TVアニメを列記します。

▼El Libro Gordo de Petete - Los Animales
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 「ペテーテの分厚い本」というタイトルの学習番組。ペテーテという鳥のパペットがお姉さんに、理科の色々を教えてくれますよ。アニメーションを交えて、2分弱という短い時間に細かい内容を盛り込んでいる模様です。他に、以下の3本を見つけました。「El caracol(カタツムリ)」の冒頭の歌が頭にこびりついて離れません。カ~ラ~コ~リ~カ~ラ~コリコリコ~。
●El Libro Gordo de Petete - (El caracol) Argentina - 1975
●El Libro Gordo de Petete (El Arbol) Argentina 1975
●Petete


▼Anteojito y Antifaz - Mile intentos y un invento (1972)
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 「アンテオヒート&アンティファス、千の企てと一つの発明」というアニメの名場面集。Mileと書いてあるのは、Milの誤記ですね。10秒目や27秒目他、魔女の出てくる場面で“パカパカ”(ポケモンのアニメで問題になった光の点滅)が使われているのでご注意を。メガネをかけた男の子がAnteojitoで、黒いアイマスクをした男性がおじのAntifaz。辞書によると、“anteojito”は“anteojo(メガネ)”の縮小辞(小さいとか幼いとか愛称を表す表現)で、“antifaz”は目の回りを隠す仮面の意味。そのままの名前を付けているのですね。題名から面白発明のドタバタストーリーなのかなと思われますが、この動画では歌のシーンが印象に残ります。Manuel García Ferréのアニメ作品は、とにかく歌が印象に残ると言っても差し支えないと思います。そして私の一番のお気に入りは、43秒目の魚が踊る場面。


▼HIJITUS - La Perrera- 1/2
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 「イヒトゥス」。大きな帽子がトレードマークの男の子、Hijitus。Profesor Neurus(ネウルス教授)一味の陰謀を阻止するため、Super-Hijitus(スーペリヒトゥス)に変身して戦う!しかし、なぜProfesor Neurus一味の中にLarguirucho(ラルギルーチョ)が!?
 その他upされている動画をいくつかご紹介。
●HIJITUS - La Perrera- 2/2
●Super Hijitus parte 1
●Super Hijitus parte 2
●Hijitus: Episodio Nº1 (El Puerto)

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2009年2月17日 (火)

Trapito

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Trapitoトラピート)(1975年公開)
監督:Manuel García Ferréマヌエル・ガルシア・フェレ、1929-)

▼youtubeで見つけた、1970年代アルゼンチンのアニメ映画。
●Trapito - 1ª parte - El patriarca de los pájaros
(1)鳥達の長老
●Trapito - 2ª parte - La granja de Larguirucho
(2)ラルギルーチョの農場
●Trapito - 3ª parte - El pirata Mala Pata
(3)足の不自由な海賊
●Trapito - 4ª parte - Motín al capitán
(4)船長への反乱
●Trapito - 5ª parte - Gotitas de Cristal (Espumita)
(5)水晶のしずく(エスプミータ)
●Trapito - 6ª parte - Batalla contra el pulpo malvado
(6)悪ダコとの戦い
●Trapito - 7ª parte - Final
(7)フィナーレ

 絵が可愛いし色彩は綺麗だし、動きは凝ってるし、ついつい引き込まれて見入ってしまいました。監督のManuel García Ferréは、アルゼンチンの有名な子ども向け漫画家なのですね。こちらのサイトで詳しく紹介されていました。スペイン語はろくに聞き取れないのですが、ネットであらすじを紹介しているブログ等を参考に、以下、何となくまとめてみました。参考にしたリンク先によると、題名は「Petete y Trapito(ペテーテ&トラピート)」となっているのですが、映画の中にはPetete(ペテーテ)というキャラクターは出てこなかったような…。

《不確かでかなり怪しく、かつネタバレ有りのあらすじ》
(1)嵐の夜、かかしのTrapito(トラピート)は、スズメの Salapín(サラピン)を助ける。SalapínはTrapitoの人生を変えようと、Patriarca de los Pájaros(鳥達の長老)のところに連れて行く。Patriarca de los PájarosはTrapitoに、ilusiones(夢想すること)が足りないと指摘し、Salapínと共に旅するように言う。(2)二人はLarguirucho(ラルギルーチョ)の農場にたどりつき、ドタバタしている内に何故かレースに迷い込んで一等賞の賞金をゲットしたは良いものの、料理屋で海賊の手下のカラスにお金を盗まれて無銭飲食をとがめられる。(3)料理屋の主人は、Chancha(チャンチャ、親豚)を人質にとる。Larguirucho、Trapito、Salapín、Chanchito(チャンチート、子豚)の一行は、鍛冶屋でバイトしてお金を稼ごうとしたところ、納品の手違いでel pirata Mala Pata(足の不自由な海賊)の船に乗り込む。(4)ひとしきり乱闘が起こる。(5)TrapitoとLarguiruchoは水晶のしずくをゲットしに海底にもぐり、人魚のEspumita(エスプミータ)と出会う。(6)Pulpo Cruel(悪ダコ)との戦いで捕らえられた、Espumitaの恋人のCaballito de Mar(カバジート、タツノオトシゴ)を助け、お礼にEspumitaから水晶のしずくをプレゼントされる。(7)海賊船に戻ってひとしきり乱闘の後、一行は料理屋に戻り、水晶のしずくと引き替えにChanchaを解放してもらい、TrapitoとSalapínはLarguirucho達と別れ、改めて旅路につく…。……と思いきや、美女スズメが現れたものだから、SalapínはTrapitoをほっぽり出して美女スズメとどこかへ行ってしまう。Trapitoは絶望して、もとのカカシに戻る。そこへPatriarca de los Pájarosがやって来て、夢想は鳥のように飛びもするが、戻って来ることもあり得ると言う。季節は流れ、実りの季節、Salapínが家族を連れてTrapitoのもとへ帰ってくる。

 …すみません、これが精一杯です。こんな理解で良いのか、非常に不安です。気が付き次第、こっそり書き直します。長老のセリフの中に、ところどころ何か良いことを言っているようなのに、ちっとも聞き取れなくて悲しいです。それでも、夢を持つこと、勇気を持って自分の運命を切り開いていくこと、友達を信じることの大切さが伝わってきました。でも「友達よりも女を取るような奴でもか」と思った私は、ちょっと心が汚れているかも知れないなと、反省しました。しかし、夢(夢想)という奴は、それを持つ者について回り、時に希望であり時に裏切ったりもするけれど、結局は信じるものなのかも知れないとも思いました。……という理解で良いのでしょうか。

《参考リンク》
●García Ferré: Petete y Trapito, en DVD
●Cover Caratulas PETETE Y TRAPITO · PETETE Y TRAPITO · 1975
●Petete y Trapito - cinenacional.com
●García Ferré


 ところで、昨年の8月に、広島国際アニメーションフェスティバルで、アルゼンチン特集が組まれていたのですね。これは見に行きたかった!
●広島国際アニメーションフェスティバル|アルゼンチン特集
●広島国際アニメーションフェスティバル|「クリノ・クリスチャーニ - 世界初の長編アニメーションの謎」
●ラッピーニュース1号(8月7日発行)より「クリノ・クリスチャーニ - 世界初の長編アニメーションの謎」

 しかも、世界初の長編アニメーションが作られたのはアルゼンチンとは、初耳でした。1917年、クリノ・クリスチャーニ(Quirino Cristiani)による「エル・アポストル(El Apostol)」という作品だそうで、以下のページが参考になりました。作品が残っていないというのは、実に残念なことです。
●『キング・コング、江戸に現る』 または、失われた50本の映画 海から始まる!?/ウェブリブログ
●第4章 アルゼンチン:世界初の長編アニメーション
●Quirino Cristiani, The Untold Story of Argentina's Pioneer Animator
 youtubeにも参考になりそうな動画があるみたいですが、それはまた改めて。


(最終更新日:3月12日)

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2008年2月18日 (月)

mafaldaマファルダ

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「mafaldaマファルダ」(1)悪いのはだれだ!
作:キノ(Quino、1932-)
訳:泉 典子
(エレファントパブリッシング、2007年刊)

 当ブログ2005年11月23日付け記事でご紹介した、アルゼンチンの4コマ漫画「mafalda(マファルダ)」。翻訳本が出ていたので読んでみました。縦20センチ×横19センチの判型の各ページに3本の漫画を掲載し、全部で約170ページと、結構なボリュームです。最終ページによると、本書はアルゼンチン版の「mafalda 1」と「mafalda 2」を1冊にまとめたものだそうです。

 本書で描かれているのは、1960年代のアルゼンチンの子供達。主人公のマファルダは、嫌いな野菜スープを食べなきゃいけないといった身近な出来事から、国内の諸問題、更には世界中で起こっている様々な出来事にまで目を向けては疑問を抱き、憂えています。マファルダの発する疑問や抗議の数々を読んでいると、子供ならではの無邪気な目線からのものもあれば、大人が日頃口に出しては言わないことや言えないことを子供に仮託して言っているのではないかと思われるものがありました。マファルダの仲間達として、「何でも屋」の息子で拝金主義者のマノリト、夢想家の少年フェリペ、保守的なぶりっ子娘のスサニタ、デリケートな心を持つ男の子ミゲリトといった子供達が登場するのですが、本書冒頭の紹介文に書かれたこれらの設定を見ていると、もしかして大人社会の縮図なのか?と思ったものでした

 なので、絵だけ見て「ピーナッツ」のような可愛い漫画という先入観を持つと、かなり手強いです。いや「ピーナッツ」も十分に手強いとは思うのですが、「マファルダ」の方は、より生々しく社会情勢を反映しているような感じ。人名や地名といった固有名詞が沢山出て来ますし。日本の話題もありました。ちょうど東京オリンピックの頃だったからかな。

 という訳で、「この4コマ漫画は何を風刺しているのだろうか?題材となっている出来事は何?」と、頭をピキピキ言わせながら読んだものでした。人名や地名には欄外に注釈が付いていることもあるのですが、これだけではとてもじゃないけど足りません。「マファルダで読み解く戦後の世界情勢」などという解説書があっても良いくらいです。おそらく、ここに描かれた内容は、当時のアルゼンチンや翻訳が刊行された国々で、理解と共感を持って迎えられたことと思います。そして、あれから約40年。この漫画に親しんだ人々にとって、世界はどう変化しどう受け止められているのか、当時の疑問や憂いは今どうなったのか、それとも変わらないのか、気になるところです。

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 話はうってかわって、こちらはフランス語版マファルダの単行本第4巻(Glénat社刊)。やはりバンド・デシネの国だけあって、約A4サイズで46ページ(各ページ漫画4本ずつ掲載)、ハードカバーでフルカラーのアルバムとなっています。買ったまま積ん読していたのですが、この機会に引っ張り出して、ちくちくと辞書を引いてみました。やっぱり時事ネタが出て来て、頭をピキピキ言わせながら読みました。

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2007年12月30日 (日)

「漫画」をフランス語で何というか?

▼“La historieta en el mundo: La Bande Dessinée en Francia y Bélgica”
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 アルゼンチンのEducaRed ArgentinaというサイトのHistorietas(漫画)コーナーの中にある「El fascinante mundo de la historieta(漫画の魅惑的な世界)」というシリーズ連載。この中から、各国の「漫画」の呼び名とその語源を解説している漫画作品をご紹介する3回目(ちなみに第1回は→こちらで、第2回は→こちら)。今回は、フランス・ベルギーの「Bande Dessinée(バンド・デシネ)」について。「Bande Dessinée」は「描かれた(Dessinée)」「帯(Bande)」というのは当ブログでもおなじみではありますが、それに対応するスペイン語が「描かれた(Dibujada)」「帯(Tira)」で、この「tira(複数形はtiras)」という単語は、辞書によると「(新聞などの)続きこまマンガ」の意味もあるのだそうです。英語で言うところの「(コミック・)ストリップ」と同じですね。

 今回取り上げるリンク先の漫画のミソは、所々にバンド・デシネの有名作品のキャラクターが隠れているところ。とりあえず分かっているものを挙げていくと、1コマ目タイトルに巻き付いている尻尾が「Le marsupilami」で鉛筆立てに入っているのが「Astérix」「Les schtroumpfs」、2コマめの黒いベレー帽の男の子は「Benoit Brisefer」でBDを読んでいるのが「Boule et Bill」、4コマ目で新聞を読んでいるのが「Lucky Luke」、最後のコマで吹き出しの下に隠れているのが「Spirou et Fantasio」に「Tintin」。…分からないものもありますが、判明したら書き足します。では、例によって拙訳は以下の通りです(今回のはこれまでにも増して訳しづらくて自信なし…)。

--何故Bande Dessinéeなのか?--
(原案:B.D.、シナリオ:FABIO BLANCO、作画:ADRIAN MONTINI)
(1)「こんにちは、僕はダヴィーヌ。僕は今描き終えられようとしているけど、これがフランス語でバンド・デシネと呼ばれているもので、描かれた(←Dibujada)帯(←Tira)を意味しているんだ。フランスやベルギーでは、漫画のことをこんな風に呼ぶんだ。」(2)「しかしながら、バンド・デシネは“新聞漫画(←tiras)”として読まれるのではなく、44~64ページのアルバムの形で読まれる…図書館で読んだり保管するのにおあつらえむきなんだ。これらの漫画のいくつかは、前もって漫画雑誌にエピソードが掲載されるのが常だったんだ。」(3)「そのような漫画雑誌は皆―とりわけPilot、Tintin、A Suivre、Pif―、ユーモアとアドベンチャーの正真正銘の“宝庫”となったのだけど、残ったのはSpirouだけだった。」(4)「幸い出版社は、描き下ろしの漫画や、或いは“総合誌”や新聞に掲載された漫画を使って、アルバムを刊行し続けた。」「ハハハ、このObélix(オベリクス)はとても笑わせるね!」(5)「フランスやベルギーの漫画のキャラクターはいろんな形で世界中に知られているし、MANGAやアメリカンコミックと“全力で”張り合っている。」「既にご存知のようにね。“Bande Dessinée”或いは“B.D.”と読んで下さいね!」「もし親しみを込めるなら“BéDé”とね!」

<2008年4月12日、19日追記>
主人公のDavine(ダヴィーヌ)さん、パッと見性別が分かりにくかったのですが、実は女性で、モデルはベルギーのBD作家で、また『Spirou』の初代作者Rob Velの奥さんなのですね。(→仏語版wikipedia)この漫画、なにげに中身が濃いです。訳文はそのうち直します…。

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2007年11月17日 (土)

「漫画」をイタリア語で何というか?そして他の国では?

▼“La Historieta en el mundo: El Fumetto italiano”
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 前回の記事では、「漫画」のスペイン語訳とその語源について、アルゼンチンのEducaRed ArgentinaというサイトのHistorietas(漫画)コーナーの中にある「El fascinante mundo de la historieta(漫画の魅惑的な世界)」というシリーズ連載を元にご紹介しました。今回は引き続き、漫画のイタリア語訳について、ご紹介します。

 「漫画」をイタリア語では「fumetto(フメット)」、複数形なら「fumetti(フメッティ)」と言い、その語源は、日本では「吹き出し」と呼ばれる雲のような形をしたものが「fumo(湯気、煙)」みたいだからだそうです。


 では、前回同様、上記画像の漫画を翻訳してみましたので以下に記します。

--何故fumettiなのか?--
(このシリーズの原案:BANDA DIBUJADA、シナリオと作画:BRUNO OLIVIERI)
(1)「やあ、僕の名前はブルーノ。イタリアに住んで、仕事しているんだ。」「そして、僕は漫画の作画家なんだよ!」(2)「ところで…僕の国では漫画の事を何故“fumetti”って呼ぶのか知ってますか?」(3)「何故なら、その名前は、様々な登場人物から発せられた言葉の入った“雲”に由来するからなんだ。」(4)「それらは英語だと“BALLOONS(球、気球)”と呼んでいて、小さな“FUMO(煙)”の雲みたいなものだ。まさに“fumetti”!!」(5)「アメリカンインディアンもまた、お互いに連絡し合うのに“煙の雲”を使っていた。僕がやっているようにね!!」「ねぇねぇねぇ、僕もまたちょっとしたインディアンの気分さ。」「ああっ!」「話は変わって、これは“ONOMATOPEYA(オノマトペ)”と言うんだ。その名前は、ギリシャ語の“ONOMA(名前)”と“POIEO(私は振る舞う、行動する)”に 由来するんだよ。」「でも、これはまた別の話だね!」「終」

 そして、この漫画に付けられた解説文には、各国の「漫画」の呼び名が載っていて興味深かったので、その部分を以下に翻訳してみます。

 漫画は、世界中の様々な場所で色々な名前を持っています。英語が話される国では“Comic(コミック)”、スペイン語(カスティーリャ語)では“Historieta(イストリエタ)”という言葉が生まれ、“Bande Dessineé(バンド・デシネ)”はフランス、“Manga(マンガ)”は日本、“Quadrinhos(クアドリノス?)”はブラジル、“Tebeos(テベオス)”はスペイン、“Comiquitas(コミキータス)”はいくつかの中米とメキシコで、“Tirillas(ティリージャス)”はプエルトリコで、“Muñequitos(ムニェキートス)”はキューバ、等々。
 イタリアではそれは“Fumetto(フメット)”と呼ばれ、複数形は“Fumetti(フメッティ)”です。
 活動団体Banda Dibujada(バンダ・ディブハーダ)は、世界中の漫画家に対して、各々の国ではそういった種類のものを“何て”“何故”呼ぶのかを語って貰おうという目的を持って、コンタクトをとり始めました。
 この「Banda Dibujada」とは、アルゼンチンで生まれた文化活動団体で、子供のための漫画の創作・出版・普及を支援するものだそうです(参考→こちら)。いつか、このシリーズに日本の「マンガ」の語源に関する漫画や解説も載る日が来るのでしょうか。

(12月4日、訳文をちょこっと修正しました。スペイン語の『humo(煙、湯気)』と『nubes(雲の複数形)』を混同している部分があったので。)

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2007年11月13日 (火)

「漫画」をスペイン語で何と言うか?

▼¿Por qué el nombre “Historieta”?”
(何故“Historieta”という名前なのか?)
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▼“La historieta en el mundo: El tebeo español”
(世界の漫画:スペインのtebeo)
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 「漫画」をスペイン語で何というか?以前、当ブログ2005年10月31日付け記事で手持ちの西和中辞典に載ってた「historieta(イストリエタ)」と「tebeo(テベオ)」の2つの単語の定義を引用しましたが、その後スペイン語の漫画関連サイトをあちこち眺めていると、「tebeo」の名前を冠していても紹介されている作品は大人っぽいものがある…。「historieta」と「tebeo」の使い分けは内容よりもむしろ、場所(ラテンアメリカとスペイン)なんじゃないか…。そんなことを思っていた矢先、その疑問を解決する日がやって参りました。EducaRed ArgentinaというサイトのHistorietas(漫画)コーナーの中に「El fascinante mundo de la historieta(漫画の魅惑的な世界)」というシリーズ連載があって、そこで「historieta」と「tebeo」について、それぞれのネーミングの由来を漫画で解説してありました。(「Virus Mental*」2007年9月26日付け記事で知りました。)

 要約しますと、「historieta(複数形はhistorietas)」は「historia(歴史、物語の意)」の縮小語、「tebeo(複数形はtebeos)」の由来はスペインのかつての人気漫画雑誌「TBO(テベオ)」。「TBO」の語源は「Te veo.(テ・ベオ、私は君を見ている)」なのですが、これを略して「TVO」と表記すると「テウベオ」と読まれてしまうから「TBO」と表記されたのだそうです。因みに、スペイン語のアルファベットでは、「B」は「ベ」、「V」は「ウベ」と読みます。英語と違い、どちらも「バ行」音で発音します。(参考文献:『はじめてのスペイン語』東谷穎人著、講談社新書)


 これだけでは簡潔過ぎますので、上でご紹介した2本漫画を翻訳してみました。ところどころ言葉を補ったり意訳したりしていますが、間違いがありましたらごめんなさい。やはり翻訳って難しいですね…。

--何故“Historieta”という名前なのか?--
(原案:B.D.、シナリオ:FABIO BLANCO、、作画:CACHO MANDRAFINA)
(1)手紙「拝啓、ホームズ様:何故Historietaという単語なのか、調査して頂きたいのですが」ホームズ「うーむ…これはベーカー街にしては異例の事件だな。」(2)イエロー・キッド「絵を連続させてひとつの物語を構成する、あまり重要とされない、簡略化した物語」ホームズ「おお、アイルランドの子供は辞書の定義を持ってきたか。」(3)リトル・ニモ「夢の世界では、はじめてのHistorietaは新聞の小さなスペースに登場したって言ってたよ、ボス。」ホームズ「考慮に入れとくよ、おやすみ。」(4)バスター・ブラウン「決定!」紙「Historia(歴史、物語の意)の縮小語。Historieta達はちっぽけな割り当ての中、新聞等の出版物のおかげで進化した。簡略化した続きコマ漫画は、やがてコミックブックやグラフィックノベルを育てた。教訓:Historietaは粗悪な意味の単語ではない。何故なら、大きな物語は沢山のより小さな物語で作られるから。」(5)君の決定を受け入れよう、バスター。しかし…君の犬を呼んでくれ…吠えないということは、噛み付くと推測するが…」(6)ワトソン「初歩(elemental)ですかな、ホームズ?」ホームズ「歯牙(dental)だよ、ワトソン君。」
--何故“TEBEO”なのか?--
(シリーズ原案:BANDA DIBUJADA、シナリオ・作画:JAN)
(1)作者「やあ…いや、私はTEBEOは描いてないよ。PAJARITA(パハリタ)を作っているだけさ…(注!…日本では"ORIGAMI"という。)」(2)さて行くか、着替えたよ…こんな風に。これで私はTEBEOの登場人物だ!」(3)「TEBEOは"TE VEO(私は君を見ている)"から来ているんだ。とはいえ、"V"の文字はこの場合"B(長いB)"と表記しているんだ。でないと"TEUVEO"になっちゃって(注!…スペインでは"UV"のことを"短いV"と言う)、うまくくっつかないんだ」(4)ナレーション「スペインで最も古い漫画雑誌のひとつが1917年に生まれ、TBOのロゴを冠しており、"TEBEO"という発音で読まれた。」作者「カフェオレ一杯とTEBEO一冊…」(5)作者「TBOという漫画雑誌は、我々の祖父母・両親・おじさんおばさんの時代にはとてもポピュラーだった。そして、その登場人物は当時の社会を反映していた。"LA FAMILIA ULISES(ユリセス一家)"なんかはずっと、最も親しまれたものだった…」窓口「どうぞ」(6)ナレーション「ちがう、TB0って言ったんじゃないよ、TEBEOって言ったんだ」窓口「?」(7)「現在、cómicsと言う方が多いだろうか…おそらく、よりモダンな響きがするからだろうか、しかし、どんな言葉がより格好いい言葉として残るだろうか?」作者「SUPERLÓPEZのTEBEO一冊。」窓口「えっと…これ?」

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