« 2011年11月 | トップページ | 2012年1月 »

2011年12月

2011年12月14日 (水)

「石子順造的世界 美術発・マンガ経由・キッチュ行」展覧会図録

 この間の日曜日に近くを通りがかったので、府中美術館まで足を伸ばしてみました。石子順造的世界 美術発・マンガ経由・キッチュ行という展覧会が始まったばかりなので、どんなものか気になっていたのです。石子順造といえば、私にとっては、呉智英の文章によって「「すべからく」と「すべて」は意味が違う」と並んで「石子順と石子順造は別人」というのが脳裏に刻み込まれたので名前は知っていたのですが、どんな人かはあまり知らずにいました。マンガ評論は少し読んだことがありましたが、美術評論の方は全然知りませんでした。展覧会の方は後日トークショーのある日に行こうと思っていたのでその日は入らず、受付前のミュージアムショップで図録をチェック。なかなか面白そうだったので購入しました。

ishiko_junzou_zuroku.jpg
 縦26.7センチ×横18.2センチ×厚さ3センチで全300ページ。圧倒的なボリュームです。twitterで話題になっているのを見かけたのですが(@lacopen氏のツイート)、これで2千円はお買い得かも知れません。何より目を引くのが、つげ義春「ねじ式」の生原稿を採録したページ。切り貼りやホワイトや書き込みが再現されているのも興味深く、大画面なので迫力があります。これまで文庫本で読んでいたのと印象が変わりました。また、展示物の紹介だと思うのですが、図版と解説(石子順造の文章から抜粋)の構成がすっきりと見やすいです。石子の文章の他には、学芸員による解説、関係者の座談会、著書紹介、年譜等が載っていて盛りだくさんです。これからじっくり読みます。


 ところで、府中美術館がある府中の森公園の向かいには有名な廃墟があります。米軍府中基地の跡地です。道をはさんで窓ガラスの割れた建物が、周辺をぐるりと回ると巨大なパラボラアンテナが2基並んでいるのが金網越しに見えます。興味のある方は立ち寄ってみてはいかがでしょうか。ただ、ぐるりと回るには道が入り組んでいる上に敷地が広大だから所要時間がかかるのと、今の季節は日が暮れるのが早いのでご注意を。また、周辺は住宅地なのでご配慮を。
fuchu_base_us_1.jpg
fuchu_base_us_2.jpg


 そして、東府中駅に向かう途中には航空自衛隊基地があり、屋外に戦闘機が2機展示してあるのが金網ごしに見えます。
fuchu_base_jasdf_1.jpg
fuchu_base_jasdf_2.jpg
 この一体はかつての陸軍燃料廠で、後に米軍が管理、まだ返還されていない部分が残っているのだそうです。(参考:東京都の米軍基地対策内の都内の米軍基地航空自衛隊府中基地内の府中基地沿革)ただ、廃墟のあたりは返還されていて、国立医薬品食品衛生研究所を移転・建設しようとしたのが凍結されているそうです。(参考:衛生研問題を考える会

(最終更新日:12月18日)

|

2011年12月10日 (土)

アングレーム国際漫画祭のポスターにラムちゃん?

 ベルギーのバンドデシネ情報サイトActua BDに「Angoulême 2012 (1/4) : Heureusement, il y a Art Spiegelman ! (アングレーム2012(1/4):幸いなことに、アート・スピーゲルマンがいる!)」と題する記事が載っていて、思わず目を引いたのでご報告します。アート・スピーゲルマンは、日本では『マウス』や『消えたタワーの影のなかで』が刊行されているアメリカの漫画家。フランスで毎年1月の終わりに開催されるバンドデシネの祭典・アングレーム国際漫画祭の第38回(今年)でグランプリを受賞したので、次回第39回の議長(président)を務め、ポスターの作画や審査員などを務めます。そのプログラム発表の際の談話が解説こみで掲載されていて、気になったのは、本文真ん中あたりにupされているポスターの画像。

angouleme_lamu.jpg
 手前にいるのはスピーゲルマン『マウス』のキャラクターで、ipadでロドルフ・テプフェールの漫画を読んでいるそうです。壁に貼られているのは「パリの地下鉄で見られるようなポスター」。重ね貼りしたのをぺりぺりはがしたら、ところどころ漫画のキャラクターが現れました。こういうポスターって、まとめてはがした方がはがしやすいから重ね貼りするというのを聞いたことがあります。描かれているのは世界のクラシックな漫画へのオマージュだそうですが、タンタン以外は明記されていません。そこで私が補足したいと思います。タンタンの右がラムちゃん、顔の下半分が描かれているのはディック・トレイシー。赤に黒の水玉模様のスカートはナンシーか?ポスターの周囲で漫画らしきものを読んでいるのは、イグナッツ・マウスとマルスピラミとミッキーマウスと思われます。このポスターデザイン、本当に使用されるのでしょうか。いずれ公式サイトに(→こちら)にてあきらかになることでしょう。

 アメリカの超大物漫画家がラムちゃんを描いているというのが面白いのですが、それにしてもラムちゃん、ちょっと目と胸が大きすぎないか。欧米の人が描くMANGAキャラクターといえばドラゴンボールの悟空がよく使われていたように思うのですが、ラムちゃんもまたMANGAのアイコンなわけですね。そういえば、ベルギーのオークションでセル画が落札されていました。(→こちら。)500ユーロというのは高いのか安いのか。他にもガッチャマンやキャプテン翼等、日本のアニメのセルが落札されています。ご当地のバンドデシネだと、タンタンが表紙の「Petit Vingtième」(『オトカル王の杖』や『青い蓮』の頃)が落札されていて、相場はよくわかりませんが画像を眺めるのは楽しいです。このPierre Bergé & associéというオークションハウスは、以前「SKECHTRAVEL(→公式サイト)」に使われていて、その落札結果が→こちら。ほんのちょっとだけ中身がおがめますよ。ちなみにPierre Bergé(ピエール・ベルジェ)は、故イヴ・サンローランのパートナー。当ブログ2008年11月11日付け記事で『おてんばルル(La vilaine Lulu)』について書いた際、彼らの財団のサイトが役に立ちました。


(12月18日追記)
 ポスターの大きな画像を見つけました。フランスのニュースサイト「Mediapart」内のブログ12月13日付け記事です。クリックしていくうちに大きな画像が。「art spiegelman」のサインもばっちり。

(最終更新日:12月18日)

|

2011年12月 9日 (金)

「Chico & Rita(チコとリタ)」映画公式サイト

▼:: Chico & Rita :: | Estreno 25 Febrero(いきなり音が出るので注意)
chico_and_rita_pelicula.jpg


 スペインの長編アニメ映画、2010年公開。日本ではラテンビート映画祭やセルバンテス文化センターで上映されたので、ご覧になった方も多いでしょう。ラテンビート映画祭の紹介ページは→こちら。Javier Mariscal(ハビエル・マリスカル)とFernando Trueba(フェルナンド・トゥルエバ)の共同監督。音楽はBebo Valdés(ベボ・バルデス)。Javier Mariscalはバルセロナ・オリンピックのマスコットキャラクターのコビーをデザインした方で、記憶されている方もいらっしゃることでしょう。Fernando Truebaは「フェルナンド・トルエバ」表記で検索すると日本語版wikipediaや日本で公開された映画がヒットします。Bebo Valdésはキューバのピアニスト、指揮者、作曲家、アレンジャー。1918年生まれで写真が主人公のChicoに似てるような…、と思ったところ、作中のピアノはこの方が弾いているのですね。(参考:electropicoの音楽三昧 今年のラテンビート映画祭唯一の音楽映画「チコとリタ」


 始まりは1948年のハバナ(キューバ)、ジャズピアニストのChico(チコ)と歌手Rita(リタ)との出会い。やがてRitaはスカウトされニューヨークへ。Chicoも後を追うのだけれど、出会いとすれ違いの連続。そして…。
 ジャズミュージックを随所に盛り込んだ映画で、時に場を陽気に盛り上げ、時にしっとりとした情感を醸し出します。中には「そんなところにもジャズ」というシーンもあり、会場から思わず笑い声も。ラストシーンは涙腺がゆるみ、エンディングでは拍手も起こる、いい映画でした。映像も鮮やかな色彩で綺麗なものでしたし、イベント上映だけではもったいないと思います。


 この映画、画風が写実的で、Javier Mariscalの絵とちょっと違う(一部Mariscalの絵っぽいシーンもありますが)…、と思っていたところ、実写から絵を描き起こしているのですね。すべてかどうかは分かりませんが…。
▼'Chico y Rita', una apología del jazz
chiko_and_rita_making.jpg


 そんなJavier Mariscalの作風が分かるのが、公式サイト(→こちら)。これまでデザインしてきた作品や描いた作品が紹介されています。懐かしのコビー君や「Chico & Rita」のコミカライズも。「Chico & Rita」のバックグラウンドとして興味深いのが、Fernando Trueba監督作品「CALLE 54(54番街)」の関連デザインと、Compay Segundo(コンパイ・セグンド)のプロモーションビデオクリップ。

▼Estudio Mariscal | la negra tomasa
la_negra_tomasa.jpg


(最終更新日:12月18日)

|

2011年12月 5日 (月)

「Arrugas(皺(しわ))」映画公式サイト

▼Arrugas
arrugas_la_pelicula.jpg

 当ブログ2009年10月17日付け記事で取り上げ、その後邦訳も出版された『Arrugas(邦題:皺(しわ))』がアニメ映画化。原作・共同脚本・デザイン:Paco Roca(パコ・ロカ)、監督・共同脚本:Ignacio Ferreras(イグナシオ・フェレラス)、音楽:Nani García(ナニ・ガルシア)。2012年公開。YouTubeにupされた予告編(→こちら)のコメント欄によると、今年9月のサン・セバスチャン国際映画祭で上映されたとのことなので(映画祭公式サイトの作品情報は→こちら、英語版は→こちら)、もう作品は完成しているのですね。


 イグナシオ・フェレラス監督はアルゼンチン出身。国際的に活躍されている方で、日本にもご縁があります。「東京2008年オンリーピック(→こちら。オリンピックではありません、念為)」の「早打ち携帯 1000文字級」というアニメ作品の監督をしています(→こちら)。ご本人とおぼしきブログ(→こちら)にも、日本のスケッチが。
▼東京オンリーピック公式競技/Ignacio Ferreras「早打ちケータイ1000文字級」(ダイジェスト版)
el_segmento_1000c_SMS_Finals.jpg


 また、短編作品「How to Cope with Death(死神と老婆)」をYouTubeで発見。
▼How to Cope With Death
how_to_cope_with_death.jpg
 これマジ面白い!「早打ちケータイ1000文字級」のダイジェスト版も思わず笑いが出てきましたが、こちらは更に、見ていて生きる気力がわいてきました。原作者のPaco Rocaと監督のIgnacio Ferreras、ともに老人を描いてきましたが、その融合でどんな作品が生まれるのか楽しみです。日本で劇場公開してくれたら良いと思いますが、せめてラテンビート映画祭かセルバンテス文化センターあたりで上映してくれないものでしょうか。



《2013年5月21日 ざくざくっと追記》
 その後、2012年2月、原作漫画『皺』が[第15回]文化庁メディア芸術祭マンガ部門〈優秀賞〉受賞、パコ・ロカ氏来日、セルバンテス文化センターにてアニメ映画『Arrugas』英語字幕版上映&小野耕世氏とトーク、国立新美術館にて開催された文化庁メディア芸術祭受賞作品展で原作のパネル展示&アニメ映画を日本語字幕でTVモニターに上映。2012年12月アニメ映画『皺(しわ)』第39回「日本賞」グランプリ日本賞受賞、Eテレで深夜日本語字幕で放映(英語字幕を消して日本語字幕を上書きしてたっぽい。メ芸会場では確かに日本語字幕が脇に縦書きで表示されてた記憶があるのですが、そっちは使えなかったのでしょうか)。そして、2013年6月22日(土)、三鷹の森ジブリ美術館ライブラリーの提供により、アニメ映画『しわ(原題:Arrugas)』劇場公開予定!!公式サイトはこちら。監督のお名前は「イグナシオ・フェレーラス」と長音表記に。先日の日曜日に新宿バルト9に行ったらチラシが置いてありました。裏面には、高畑勲氏の長めのコメントが載っています。前売り券も発売中だそうですが、特典は無しと、前売り情報一覧の看板に書いてありました。後は、監督が来日&舞台挨拶するのか気になります。是非実現を!あと、この先DVDやブルーレイが出るとして、スペイン語の字幕も付くかどうかも。

|

« 2011年11月 | トップページ | 2012年1月 »