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2009年8月18日 (火)

LUCKY LUKE Le film TOUS À L'OUEST

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LUCKY LUKE Le film TOUS À L'OUEST(ラッキー・ルーク映画版 皆で西部へ)
原作:Morris(モリス) & Goscinny(ゴシニ)
監督:Olivier Jean-Marie(オリビエ・ジャン=マリー)
(2007年フランス公開)
●公式サイト

《あらすじ》
 1855年のニューヨーク。Les Dalton(ダルトン4兄弟)が裁判にかけられた。Lucky Luke(ラッキー・ルーク)が証人として出廷しようとするが、入れ違いに脱走される。Dalton兄弟はNY中の銀行を強盗しまくり、得た金袋をセントラルパーク予定地の空き地に止めてあった馬車の荷台に隠す。金袋を回収しようと空き地に戻ると、そこは移民たちの馬車が集結しているため、どこに隠したか分からなくなった上に、Lucky Lukeが待ち構えていた。Lucky LukeはDalton兄弟を収監しようとするが、そこに居合わせた移民たちから、カリフォルニアへ連れて行ってもらえないかと頼まれる。移民たちはカリフォルニアの土地を購入したものの、80日間のうちにたどり着かないとキャンセルされてしまうという。しかも代金は前払いしている。何やら怪しい話なのだが、売主のCrook(クルック)と執行人Bartelby(バートルビー)立会いのもと、80日間がスタートした。移民たちは出身国も様々で、各々の馬車も個性的。Lucky Lukeはカリフォルニアに到着してからDalton兄弟を収監しようと考え、Dalton兄弟は道中に金袋を見つけ出そうと画策し、CrookとBartelbyはこっそりと行く手を妨害し、行く手には何かとアクシデントが到来し……。
(アメリカ西部劇につき、人名は英語風表記にしました。でも、映画の中でLucky Lukeのことを皆、口をとんがらせて「リュッキー・リュック」って呼ぶので、ラッキー・ルークと表記するのは少々気が引けました…。)

《感想など》
 有名な西部劇バンド・デシネのアニメ映画化。過去に2回TVアニメ化されて、youtubeやdailymotionでよく見かけます。原作のシリーズは過去にアルバムが3冊翻訳されていて、東京なら多摩の都立図書館で閲覧できます。前回のエントリで取り上げた、Moebius(メビウス)が語るところの「子ども向けのBD」の有名作であり、しかも翻訳もされたというのに日本であまり人気が出なかったのは……、ひとえに読みづらいからかなぁ。単調なコマ割に絵とエピソードをみっしりと盛り込んで、48ページでも日本のマンガに換算すると全2巻くらいのボリュームはありそうな気がして、読んでて結構疲れました。ただ、翻訳されていたのは古い作品ばかりだったので、後の作品だともう少し、読み口も軽くなっているかも知れません
 翻訳とアニメDVDに共通して感じたのは、主人公のLucky Lukeは見た目はキャラが立っているのだけど、あまり自我を感じさせないというところ。個性的な登場人物たちを相手に、正義感があって面倒見が良くて気の良い人というだけで、少々物足りない気がしました。個人的には『Spirou et Fantasio(スピルー&ファンタジオ)』のSpirouみたいだなぁと思ったものでした。
 アニメ映画は『La Caravane』という原作のアルバムがあるそうなのですが、そちらは未読。アニメ化にあたっては、子供向けということで、喫煙と飲酒はしないようにしているみたいです。お酒の代わりにレモネードを飲んでいます。でも、いわゆる“インディアン”や各移民の描写は時に戯画化が類型的過ぎて、政治的には正しくないかも…。でも、ギャグ漫画に対してあまり固いことは言いにくいかも…。とりあえず、日本人が出てこなくて良かったと身勝手ながら思ったものでした。また、前回のエントリで取り上げた、Moebiusが語るところの、フランス人にとっての西部劇やアメリカというものがどのようなものかがうかがえて興味深かったです。
 このアニメ映画の監督は『オギー&コックローチ』と同じ人なので、随所に盛り込んだドタバタギャグは、この人ならではと思いました。特に最初と最後の追跡劇が圧巻。反面、全編通して見るのはちょっと疲れるのですが(言葉の問題もありますし)、DVDなら少しずつ見ることもできるから、盛りだくさんなのは良いことかも、とも思いました。本編には聴覚障害者用の字幕が付いているので、ときどき再生を止めて辞書を引いたりしました。辞書を引いてて思うのは、フランス語って聞き取りがやっぱり難しい。オーディオコメンタリーやメイキング等の特典も盛りだくさんなのですが、これらを楽しめる日は果たして来るのでしょうか……(泣)。

(最終更新日:8月22日)

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