« ネットで見かけたMoebiusの話題いくつか | トップページ | クリスマスの壁紙 »

2008年12月20日 (土)

Euromanga Vol.1(ユーロマンガ 1号)

euromanga_vol1.jpg
Euromanga Vol.1(ユーロマンガ 1号)
(飛鳥新社、2008年9月刊)
●公式サイト

 今年の9月に創刊した、日本初のヨーロッパのマンガ、バンド・デシネの専門誌。現地で既に好評を博している作品をセレクトして、複数回に分けて掲載していくとのこと。日本にBDを紹介するにあたって、あえて「Euromanga」という呼称を用いているのだとか。創刊号に掲載されているのは「SKY-DOLL(スカイ・ドール)」「RAPACES(ラパス)」「BLACKSAD (ブラックサッド)」「BIBENDUM CELESTE(天空のビバンドム)」の4作品。1500円というリーズナブルな価格なのに、フルカラーでゴージャスな誌面です。

 マンガ以外の記事は「ユーロマンガの世界へようこそ!!」「ニコラ・ド・クレシー ─ グラフィックの愉しみ」「Euromanga の友達」の三本立て。とりわけ一つめの記事は、バンド・デシネの特徴や歴史や代表作、及び日本での紹介事例について、わかりやすくコンパクトにまとめてあり、とても参考になりました。


 4つの作品のうち「スカイ・ドール」「ブラックサッド」「天空のビバンドム」は、個人ブログで紹介されていたり、邦訳が出ていたり、同じ作者の別作品が書籍に掲載されていたりと、日本でもその評判が知られているものでしたが、「ラパス」だけは恐らく今回が初上陸であり、現地からあえて紹介したかった作品なのではないかと思われます。私は、作画のスイス人エンリコ・マリーニ(Enrico Marini)が描く予定の「Corto Maltese」(→Le Figaroの記事)が気になっていますので、いつか誌面で取り上げて下さると有り難いです。

 今号でセレクトされた4作品は、どれも設定が凝っているし、絵も素晴らしく、綺麗な彩色で十分に堪能できました。ただ、セリフやモノローグが日本語で書かれているとはいえ、もともとの文章が長いせいもあり、作品世界に入り込むのにちょっと手間取りました。これは私の個人的事情かも知れませんが、日本語で書かれていると、つい、日本のマンガを読むようなリズムで、急いで読もうとしてしまうからなのかも知れません。また、私がこれまで翻訳書を読みつけていなかったせいもあるかと思います。日本語の文章だと頭から読むけど、原文だと、固有名詞→主語→動詞→目的語→修飾語といった感じに、自分で意味を拾いに行くし、辞書を引き引き一語一語刻むように読み込むから、時間はかかるけどその分入れ込むのかも知れません。

 次号は3月刊行予定とのことで、続きが楽しみです。今号の記事「ニコラ・ド・クレシー ─ グラフィックの愉しみ」の文中には、なにげに「天空のビバンドム」のオチを示唆している箇所があるのですが(そんな大したものではありませんが)、最終的に○○○○○○うのは生首の語り部かはたまた無知に対する勝利を獲得すべく学業に励むアザラシのディエゴなのか、そしてそれはどのようにして起こるのかが気になります。


 マンガ大国日本では、外国漫画を翻訳刊行するというのは、過去の歴史に照らし合わせても非常に難しいことと思います。同じ漫画という形式であっても、日本の漫画を読むように外国のそれを読むようにはいかないですし。でも、それはどっちが良いとか悪いとかいう問題では無く、あくまでも世界が違うということなのだと思います。映画だって、駅前のTOHOシネマズでかかるものと、渋谷界隈の単館ロードショーでかかるものとでは、随分とおもむきが異なることでしょう。こうして翻訳がコツコツと刊行されていくことで、外国漫画というのがひとつのジャンルとして定着していったら良いなぁ、と思いました。

(12月29日、一部書き直し)

|

« ネットで見かけたMoebiusの話題いくつか | トップページ | クリスマスの壁紙 »

イタリア」カテゴリの記事

スイス」カテゴリの記事

スペイン」カテゴリの記事

フランス(及び仏語圏)-03」カテゴリの記事

ベルギー」カテゴリの記事

日本」カテゴリの記事

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/121253/43482832

この記事へのトラックバック一覧です: Euromanga Vol.1(ユーロマンガ 1号):

« ネットで見かけたMoebiusの話題いくつか | トップページ | クリスマスの壁紙 »