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2008年10月31日 (金)

フランス語でペンギンを何と言うか(後編)?

 前回のエントリの続きです。一連の調査の過程で見つけた、ペンギンさんに関する興味深い話題を二つご紹介します。いつの時代にも、どこの国でも、ペンギンさん達は魅力的に描かれているのが分かります。


▼Pip, Squeak and Wilfred(ピップ、スクィーク、そしてウイルフレッド)
《参考リンク》
Pip Squeak & Wilfred's Pages
PIP, SQUEAK AND WILFRED

 『ペンギンは歴史にもクチバシをはさむ』(上田一生・著、岩波書店2006年刊)という本を読んでいたら、188頁に興味深い記述を見つけました。1923年(大正12年)に「東京朝日新聞」で連載が始まった『正チャンの冒険』シリーズ(織田小星と東風人との合作)は、英国の新聞連載漫画 『Pip, Squeak and Wilfred』に着想を得たものなのだそうです。確かに、この件についての参考文献である『はじめて学ぶ日本の絵本史Ⅰ 絵入本から画帖・絵ばなしまで(鳥越信・編、ミネルヴァ書房2001年刊)』には一章を設けて『正チャンの冒険』について詳しく書かれているのですが、298頁にその辺りの記述がありました。『正チャン~』といえば、数年前に復刻本が出たときに、そのタイトルといい画風といい『タンタンの冒険』に似てるかも…?でも『正チャン~』の方が古いし…?などと言われたものですが、モデルとなった外国漫画は別なところにあったのですね。

  『Pip, Squeak and Wilfred』は、雑種犬のPip、ペンギンのSqueak、ウサギのWilfredが登場する、英国の新聞「Daily Mirror」で1919年5月11日に連載が開始された漫画。これらのキャラクターを考案したのは、子供向けコーナーの編集者Bertram J. Lamb(通称Uncle Dick)。当初はPipとSqueakのみ、翌年にWilfredが登場。Pipは父親っぽい役割で、Squeakはハンドバッグを手にした母親っぽく、Wilfredは'gug'や'nuc'といった赤ちゃん言葉しか喋れない赤ん坊なのだそうです。1938年にB.Lambが亡くなった後は、「Daily Mirror」紙で彼のアシスタントをしていたJohn Freemanがストーリーを提供。一方、作画は、1919年~1953年(第2次世界大戦により1940年6月に中断、1947年に再開)にはAustin Bowen Payneが担当し(時折、H.F.Pothecaryが手伝う)、1953年にPayneが引退した後はHugh McClellandが1955年の最終回まで引き継ぎました。様々なキャラクターグッズが作られ、年鑑が発行され、「Wilfredian League of Gugnuncs」という結社が組織されてチャリティー基金を創設する等、大人気を博した作品だったようですね。また、サイレント映画のシリーズがLancelot Speed監督によって作られたそうで、漫画と併せて、こちらも見てみたいです。


▼Histoire naturelle, generale et particuliere(一般と個別の博物誌)
《参考リンク》
(その1)
Buffon et l'histoire naturelle : l'édition en ligneより、
Tome Vingt-quatrième. 1783.の中の、
Les Pingouins et les Manchots ou les Oiseaux sans ailes.
(その2)
貴重資料画像--京都大学電子図書館より、
一般と個別の博物誌 / ビュフォンの中の、
京都大学医学図書館所蔵資料 『Histoire naturelle, generale et particuliere, oiseaux (T.1-18)』 [9, 228/344]

 フランスの博物学者Buffon(ビュフォン)による大著。1749年からビュフォン没後の1804年まで全44巻が刊行されたそうです。ペンギンさんのフランス語訳である「manchot」の語源を探すと、前エントリで挙げたBrisson(ブリッソン)の『L'ornithologie(鳥類学)』ではなく、こちらの本が出典に挙げられていることがありました。日本の書籍では『世界代博物図鑑(4)[鳥類](荒俣宏・著、平凡社)』の32頁に出て来ます。『一般と個別の博物誌』の原文はネット上にテキストデータが載っているので、「Les Pingouins et les Manchots ou les Oiseaux sans ailes(Pingouin達とManchot達、或いは翼のない鳥達)」という章をプリントアウトしてザッと目を通してみたのですが、どうにも『世界代博物図鑑~』で言っている「そして、北のペンギン<オオウミガラス>を従来どおりのペンギンとし、南極産のものをマンショmanchot(のろまの意)と名づけた.」に相当する文章を見つけられませんでしたし、「manchot」に果たして「のろまの意」が有るのか疑問に思いました(不器用の意は有るようですが)。でも、私には『L'ornithologie』の原文を入手することも、『一般と個別の~』の原文ををくまなく読むことも不可能でしたので、このあたりは、うやむやのままに記述するにとどめます。しかし、これだけは言えるのですが、京都大学のサイトにupされている『一般と個別の~』の挿絵は素晴らしく、また、家にいながら18世紀の書物にアクセスできるというのは、何と有り難いことでしょうか。

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