フランス(及び仏語圏)-03

2010年7月10日 (土)

Blake et Mortimer : Les 3 formules du professur satō (dessin animé)

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 dailymotionに動画がupされているのですが、字幕(仏英)や吹き替え(仏英伊葡)目当てでDVDを買っちゃいました。amazon.frのマケプレで新品が安かったし今ユーロ安だし。

●Blake et Mortimer公式サイト
 「Blake et Mortimer(ブレイク&モルティメール…読み仮名はアニメのセリフに従いました)」は、もともとはEdgar-Pierre Jacobs(エドガール・ピエール・ジャコブス)により、1948年に「TINTIN(タンタン)」誌に連載が始ったベルギーの漫画(参考→こちら)。その死後も、様々なシナリオライターと作画家によって書き継がれています。「Les 3 formules du professur satō(サトウ教授の3つの数式)」は執筆が中断し、作者の死後にBob DE MOOR(ボブ・ド・モール)によって完成された作品だそうです。

 「Blake et Mortimer」の基本的なストーリーは、英国MI5の将校Blake(キャプテン・ブレイク)とMortimer(科学者モルティメール教授)が、Olrik(とある帝国のオルリック大佐)の陰謀を阻止するというもの。ネットの紹介を見ていると、メカデザインが秀逸で、サスペンスとSFの要素が盛り込まれているようです。この回では、サイボーグ工学のSato(サトウ教授)と、サイボーグを量産するための数式が記録されたマイクロフィルムが狙われています。1971年の作品ということで、ちょうど日本が東京オリンピック(1964)や大阪万博(1972)で注目されていた頃。アニメの中では、ところどころ正確でところどころ微妙な日本描写が味わい深く、原作のBDのアルバムもいつか入手してみたくなります(ただ、このシリーズ、原作は文字がびっしりで読むのに苦労しそうで、敷居が高いです…)。

 アニメは97年の仏加合作。原作が全2冊のアルバムであることから、相当はしょって描かれているものと思われます。つっこみどころは山盛りなのですが、原作もこんなにつっこみどころ満載なのでしょうか……。

▼こちらは主要3人物。Blake、Mortimer、Olrik
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▼合っていても間違っている漢字の使い方。なぜ博物館の入り口に「純正トナー」と…?
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▼日本観光の見所はなんといっても歌舞伎!ここでひともんちゃく起きます。
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▼女の人の、とりわけ着物の描写がめちゃくちゃです。
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▼夜の銀座に竜が舞い降りて大パニック!「GINZA」と書いてあるから銀座と分かりますが、円筒形のネオンがいかにも一昔前の銀座っぽいです。

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しかし、なんといっても、このお話の中の最大の目玉は、



▼「Le Samouraï(ル・サムライ)」!
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サトウ教授が開発したマニュピレーター付き飛行艇です。「マヒサセロ」と言えば体を麻痺させる光線を発しますし、「ヤサシイ」と言えばやさしくしてくれます。

 日本の伝統と科学技術をヨーロッパ人の目から見て生まれたこの作品。作者の公式サイトには「Le Samouraï」のデザイン画やサトウ教授の別荘(アニメでは『ウミノイエ』って呼ばれていた…)のデザイン画も載っていますよ(→こちら)。


なお、dailymotionのアドレスは以下の通り。よかったら、一緒につっこんではくれませんでしょうか。基本的にはkこのシリーズは格好いいSFサスペンスの筈なのですが、このアニメだけはどうしてもつっこまずにはいられないのは日本人のさがとしか言いようがないですよね……。
●その1
●その2
●その3

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2010年6月23日 (水)

Arthur de Pinsの新作『Zombillénium』公式サイト

 『ユーロマンガ』最新号「Péchés mignons(かわいい罪)」の邦訳が掲載された、フランスのBD作家Arthur de Pins(アルチュール・ド・パンス)。現在、仏語圏の漫画雑誌「spirou(スピルー)」に「Zombillénium(ゾンビレニアム)」という作品を不定期連載しているのですが、8月27日にアルバム第1巻が刊行されるとのことで、公式サイトが出来ていました。

▼Zombillénium
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  「Zombillénium(ゾンビレニアム)」というのは「zombi(ゾンビ)」と「millénium(千年王国)」をかけ合わせた、作者の造語でしょうか。トレーラーや冒頭16ページのサンプル版や登場人物紹介から察するに、「Zombillénium」とは、ゾンビ達が働く会社(テーマパーク?)。カフェで強盗をしようとしたイケメンのお兄さんは魔女に邪魔されて、逃げ出したところを吸血鬼の運転する車にはねられて、死亡したところをゾンビとして蘇生され、Zombilléniumと契約する……。「Péchés mignons」とは作風もガラリと変わってエロティックな要素は少なそうですが、やはり綺麗で端正な絵柄の上に、ブラックユーモアがちりばめられていて面白そうです。働くゾンビさん達の活躍がどのようなものになるのか、気になります。


 なお、トレーラーはdailymotionにあるものの方が大きくて画質も良いです(→こちら)。

(6月28日、一部修正)

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2010年6月19日 (土)

「Spirou et Fantasio」次のメインシリーズは…

 ベルギー~フランスで長く描き継がれている「Spirou et Fantasio(スピルー&ファンタジオ)」。当ブログでも頻繁に取り上げてきました(→ブログ内検索)。日本を舞台にしたり現地で何かと物議を醸したりしていた作画:Munuera(ムヌエラ)&シナリオ:Morvan(モルヴァン)のコンビに代わる、次世代のコンビと新作が発表されました。
 今度は、作画:Yoann(ヨアン)&シナリオ:Vehlmann(ヴェルマン)のコンビです。今回のアルバムのタイトルは「Alerte aux Zorkons(ゾルコン達を警戒せよ)」。何やらChampignac(シャンピニャック伯爵)が危険にさらされている模様です。「Zorkons(ゾルコン達)」が何者なのか、今のところ分からないのですが、とりあえず、悪役の名前には頭文字に「Z」がつくのが、このシリーズのお約束です。

▼Spirou et Fantasio
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「Voir les bandes-annonces(予告編を見る)」をクリックすると、特設ページが開きます。

▼Spirou & Fantasio 51 - Alerte aux Zorkons -
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 「LIRE UN EXTRAIT(抜粋を読む)」をクリックすると、最初の5ページが閲覧できます。また、「?」マークがついているのが予告編の動画のアイコンなのですが、このページの動画は再生するのに時間がかかるので、動画を見るならdailymotionの「spirou」誌のページの方が便利でしょう。

▼SPIROU - デイリーモーションのjournaldeSPIROU
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 他にも多くの動画が登録されていますが「Spirou & Fantasio 51.」のタイトルのついたものを見つけて下さい。全部で4種類あります(うち一つは3Dメガネ対応)


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 それにしても、スピルーは可愛くなくなっちゃったし(でも熱血少年漫画っぽいところには好感が持てます)、ファンタジオはオヤジくさくなっちゃったし(基本に立ち返ったとも言えそうですが……、それにしても、ネクタイをはずして頭にハチマキみたいにして巻く風習は仏語圏にもあるのでしょうか)、果たしてこの新作、今時のお子様がたに受けるのか、そして、未曾有のユーロ圏経済危機の中、雑誌「spirou」はどこまで持ちこたえられるのか、今後の成り行きが注目されます。

(6月22日、一部加筆修正)

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2010年6月14日 (月)

国際フランス漫画館のWEBサイトより

 前回のエントリで、「メゾン・デ・ミュゼ・ド・フランス」のWEBサイト内の「フランス漫画の聖地アングレーム-「国際漫画フェスティバル」に沸く町-」というコーナーについてご紹介しましたが、そのページのサイドバーに国際フランス漫画館のURLが載っていたので、早速クリックしてみました。


▼Portail de la Cité internationale de la bande dessinée et de l'image
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 館内情報や催し物情報など盛りだくさんの情報量。恥ずかしながら、フランス語の洪水に頭がクラクラしちゃうのですが、貴重なコーナーを見つけました。
 「collection(コレクション)」コーナーの中に「collections numérisées(デジタルコレクション)」というコーナーがあるのですが、その中に、古典の名作であり初めて本格的にフキダシを用いたBD作品「Zig et Puce(ジグとピュス)」のアルバムが閲覧出来るのです!
 「collections numérisées」のページから「Alain Saint-Ogan」の名前をクリック
   ↓
 「Fonds Alain Saint-Ogan」のページから「Accés au logiciel consultation」をクリック
   ↓
 「Biographie de Saint-Ogan」のページから「Feuilleter les albums(アルバムを開く)」をクリックするとアルバムが、「Feuilleter les cahiers manuscrits(自筆ノートを開く)」をクリッックすると創作ノートが読めます。ただ、回線速度が遅いと表示に時間がかかります。また、それぞれのページに断り書きや解説が表示されているのですが、すみません、今のところちゃんと読めていません。なのでご利用の際には各自でご注意下さいますよう、よろしくお願いいたします。ともあれ、まだ著作権も切れていないと思うのですが(作者のAlain Saint-Ogan(アラン・サン=トガン)は1974年没)、太っ腹なサービスです。二人の少年と一羽のペンギンのやんちゃな冒険がいつでも見られると思うと、とっても嬉しいです。



 ところで「Zig et Puce」については当ブログで過去にこちらこちらこちらで取り上げてきましたが、そのあらすじ紹介の部分が、河出書房新社発行の書籍『ペンギンのABC(ペンギン基金・著)』の「Z」の欄で活用されたとのことです(→ペンギン基金販売物サンプルページ)。『ペンギンのABC』とは、ペンギンにまつわる雑学や図版をアルファベット順に展開した、楽しい本。細かい雑学の数々に作者の皆様のペンギンさんへの愛を感じ、きれいな図版にうっとりします。なお、売り上げの一部はペンギン保護活動にも充てられているとのことです。私のブログ記事が、ささやかながら、ペンギンさん達やペンギンさんを愛する人々のお役に立てたなら、こんな素敵なことはありません。

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2010年6月13日 (日)

メゾン・デ・ミュゼ・ド・フランスのWEBサイトより

 銀座に「メゾン・デ・ミュゼ・ド・フランス」という、フランス美術館の情報センターがあるそうなのですが、そのサイトの中に、BDの町・アングレームについて詳しく特集されていたので、ご紹介します。

▼フランス漫画の聖地アングレーム-「国際漫画フェスティバル」に沸く町-
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 フランス漫画博物館(Musée de la bande dessinée)の館内やコレクション、今年の1月に開催された第37回アングレーム国際漫画フェスティバルの模様などが良くまとまっています。日本にいながらにして現地の模様を体感できるのは、とても有り難いです。また、「2.過去と現在の漫画をめぐるコレクション」には様々な名作の原画が紹介されていて、その中には過去にこちらこちらこちらこちらで取り上げた「Bécassine(ベカシーヌ)」の原画も。ところで、過去記事で「Bécassine」の作者をEmile-Joseph Pinchon(エミール=ジョセフ・パンション)と書きましたが、正確には、シナリオは当初Jacqueline Rivière(ジャクリーヌ・リヴィエール)で後にCaumery(コームリー)、作画はPinchonでその死後Jean Trubert(ジャン・トリュベール)に引き継がれたり、その他にも複数の人が関わっているみたいですね(参考:仏wikipedia)。(また、本筋から離れますが、検索中に見つけたページに、Bécassineのアニメのワンシーンと原作BDとの関連を想起させる画像を発見しましたので、取り急ぎご報告いたします。→こちらの一番下の画像)


 話題をメゾン・デ・ミュゼ・ド・フランスに戻しますと、地下1階のインフォメーション・センターでは所蔵図書も閲覧できるとのことで、検索してみるとBDのアルバムもある模様で、いつか行ってみたいです。なんといっても気になるのが、この「トイ・コミックス(TOY COMIX)」

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2009年11月10日 (火)

線が顔になるとき ――バンドデシネとグラフィックアート――

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線が顔になるとき ――バンドデシネとグラフィックアート――
(原題:Lignes de vie, le visage dessiné
著:ティエリ・グルンステン(Thierry Groensteen)
訳:古永真一

 マンガに描かれる“顔”について考察した学術的なフランスの書籍の邦訳。ひとくちに“マンガ”といっても、取り上げる事例はフランス、アメリカ、イタリア、アルゼンチン等多岐に渡っています。もちろん日本のマンガについても、手塚治虫はもとより、白木卓(おそらくはオヤジ向け週刊誌に掲載されたとおぼしきギャグマンガ)に、少女マンガで描かれる大きな瞳、ポケモンのキャラクターデザインと、実に広範囲に言及しているのが面白いです。

 著者は冒頭で、スコット・マクラウドの『マンガ学』を引用します。そこでは、不定形なラクガキであっても目玉を書き込むことで“顔”になることが指摘されています。それだけ人は“顔”を求める、ひいては、人は人を希求するものなのかもしれません。

 古今東西、マンガには様々な“顔”で埋め尽くされています。そこで著者は、それぞれのマンガに描かれる“顔”を分析していきます。観相学、感情学、カリカチュア、類型化、コード化、幼形成熟、クローズアップ……etc、etc。ところどころ難しい文章が続くのでちゃんと理解できているのか心許ないのですが、それでも、マンガがマンガの魅力たらしめている仕組みがどこにあるのかを突き詰めて考察することは、マンガを楽しむ上で、或いはマンガを描く上で、研究する上で、有意義なのではないかと思いました。

 本書にはまた異なる楽しみ方もあります。日本では知られていないマンガ家については巻末に略伝が付いていますので、ちょっとした外国マンガ入門書のおもむきがあります。マンガ家の名前でネットで画像検索してみることで様々な画像を堪能して楽しみました。また、引用されている図版から興味をかきたてられることもありました。例を挙げますと、「フレンチコネクション」という時事マンガからアンドレ・マルローに興味を持ちましたし、本書ではいちばん多く図版が引用されているホセ・ムニョス(画)とカルロス・サンパヨ(原作)のコンビの作品を読んでみたくなりました。

 更に、個人的に大発見だったのは、当ブログ6月29日付け記事で取り上げた『Mort Cinder(モート・シンダー)』の一件。語り部キャラであるEzra Winston(エズラ・ウィンストン)が作画家のArberto Breccia(アルベルト・ブレッチャ)の老後を想定した自画像であるというのは、言われなければ気が付かないところでした。原作者のHéctor Germán Oesterheld(エクトル・ヘルマン・オエステルヘル)の作品を立て続けに読んでいた身としては、Ezra Winstonは原作者の分身であるとばかり思っていたからです。いずれにせよ、Arberto Brecciaは基本的に原作付きの作品ばかり描いていましたし、当ブログ4月20日付け記事で取り上げたドキュメンタリー映画「Imaginadores(イマヒナドーレス)」によると大量の自画像を描いていた模様なので、彼にとって、彼自身が自作のキャラクターなのかなと思ったりもしたものでした。

 ……最後、本書の主旨から外れたところで熱く語ってしまいましたが、本書は読む人の関心事しだいで様々な発見があるのではないかと思いましたし、今後、バンドデシネを始めとする外国マンガの知識が増えた折りにも読み返してみたくなる本だと思いました。

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2009年10月24日 (土)

『ユーロマンガ』vol2とvol3

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 バンドデシネを翻訳して日本に紹介する雑誌。めでたく第3号が刊行されましたので、復習がてら第2号から読み直しました。バンドデシネは日本のマンガと違って、絵もフキダシも高密度。あわてて読むと消化不良を起こすのでご注意を。でも、ゆっくりと味わって読むと、きっとあなたの心の滋養となることうけあいです。

 第2号までは、アメリカが舞台やモチーフとなっていたり、作者がディズニーで仕事をしていた等、作品にアメリカの色合いを強く感じたものですが、第3号になると、ヨーロッパ色が強くなってきました。新しく掲載された作品の中には、フランスの昔と今を伝えるものもあります。思えば、最近の日本のマンガは海外を舞台にするものが少なくなってきました。『ユーロマンガ』を通じて海外の空気に触れることができるのは、とても素敵なことだと思います。この素敵な交流がずっと続きますように。

 また第3号では、私も「スペイン漫画の歴史」というコラムを書かせて頂きました。この雑誌に参加できて実に光栄ですし、執筆の過程で教えを請うたり調べたりして私自身勉強になり、とっても素晴らしい経験でした。

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2009年9月16日 (水)

Corto Maltese : Sous le signe du Capricorne

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Corto Maltese : Sous le signe du Capricorne
(コルト・マルテーズ:山羊座の下に)
作:Hugo Pratt(ユーゴ・プラット、1927-1995)
Casterman社、2001年刊
初出:Pif gadget 1970年 58,59,66,75,82,89号
(初出は→こちらを参考にしました)

《あらすじ》
I Le secret de Tristan Bantam(1.トリスタン・バンタムの秘密)
 オランダ領ガイアナのパラマリボにて。Corto Maltese(コルト・マルテーズ)は、Madame Java(ジャバ婦人)の宿に滞在していた。そこに、イギリスはロンドンからTristan Bantam(トリスタン・バンタム)という少年が訪れる。来訪の目的は、異母妹に会うことと、亡くなった父が残した古文書の謎を突き止めることだった。Cortoは、プラハから亡命した考古学者のSteiner(シュタイナー)と共に、Tristanをサポートする。そこに、異母妹のMorgana(モルガナ)の使いで魔術使いの女性や、Tristanの命を狙う者が現れ…

II Rendez-vous à Bahia(2.バイーアでのランデヴー)
 Corto、Tristan、Steinerの3人は、Morganaに会うために航路ブラジルのバイーアへ向かう。中途立ち寄った島で脱走犯Cayenne(カイエンヌ)と出会い、彼をかくまうカリブの先住民族達の呪術を目の当たりにする。Cayenneを加えた一行は、Morganaの邸宅へと到着する…

III Samba avec Tir Fixe(3.ティール・フィックスとのサンバ)
 Corto、Tristan、SteinerはMorgana達と共に、Morganaの魔術の師匠であるBouche Dorée(ボシュ・ドレー、黄金の唇)へと会いに行く。Bouche Doréeは、Cortoの母親である"Niña de Gibraltar(ニーニャ・デ・ジブラルタル、ジブラルタルの瞳)のことを良く知っていた。また、Bouche Doréeは、Cortoに一仕事を頼む。その内容は、白人の圧政に対して武装蜂起をした“カンガセイロ”と呼ばれる人々へ救援物資を運ぶことだった。現地では、殺された首領の代わりに、Tir Fixe(ティール・フィックス)が陣頭指揮をとっていた…

IV L'aigle du Brésil(4.ブラジルの鷲)
 Bouche DoréeのもとでくつろいでいたCortoだが、Tristan、Steinerと共に出発し大西洋を北上する。時は第一次大戦下、連合軍の船舶ばかりが遭難する海域があった。Corto達は漂流するヨットを発見し、大怪我をした漁民を助ける。その近くの島に上陸すると…

V ... Et nous reparlerons des gentilshomm es de fortune(5.そして、海賊達のことを再び話そう)
 Corto、Tristan、Steinerは、或る小島にいる。そこにはスペインの海賊が盗んだ黄金が隠されているという。その隠し場所は、鯨の骨で出来たトランプのカードのエースに刻まれていて、4枚揃うと分かるという。クラブのエースのカードを持つCortoは、海賊の子孫の女性に会いに行く。女性はダイヤのエースを持っていて、更に、ハートのエースを持つRaspoutine(ラスプーチン)に再会し…

VI À cause d'une mouette(6.1羽のカモメのせいで)
 海岸に漂着したCortoは記憶を失っていた。敬虔なキリスト教信者の白人女性Soledad Lokäath(ソレダ・ロカース)に敵と間違って撃たれた後、保護される。Soledad Lokäathは従者である先住民族の男性Jésus-Marie(ヘスス・マリエ)と暮らしているが、辺りをつけ回す男や彼をかばう司祭がいて…


《感想など(かすかにネタバレ有り》
 当ブログで頻繁に話題にしている「Corto Maltese」シリーズの第2巻。このシリーズはカラー、モノクロ、小型本と様々なバージョンが存在し、また、最近リニューアル版が刊行されている模様なのですが、当ブログで取り上げるのは“全12巻バージョン”ということで、どうぞよろしくお願い致します。第2巻から、Cortoの本格的な冒険の旅が始まります(掲載誌も、フランス語圏へと進出しています)。南米を舞台に、植民地や人種問題、戦争を背景に、時に神秘的体験を交え、読者はぐいぐいと未知の世界へと引き込まれていきます。黒人の描写などは、差別が厳しかったであろう1970年発表当時には斬新だったかも知れません。地名や歴史上の出来事、呪術に関連した固有名詞などが多く出てくるので読むのに結構難儀したのですが、ネットで検索すると日本語でも情報が出てくるので助かりました。

 大海原を航海するCorto Malteseの冒険は、一見、颯爽として格好良さそうにも見えますが、単にそれだけの話ではありません。人々の思惑に翻弄され、助けたかった人は助けられず、宝物は手に入らず、海賊の過去は蒸し返され、時に昔の仲間が現れて危険で魅力的な冒険へといざなう。多くの困難が待ち受けている中、己を信じて遠くを見据え、自分の道を切り開いていくCortoの行く先を、これからも少しずつ見届けていこうと思います。

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2009年8月25日 (火)

雑誌「ふらんす」でBD特集

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 今発売中の雑誌「ふらんす」(→公式サイト)9月号で、題して「BDの楽しみ」という特集が組まれていたのでご紹介いたします。とりわけ興味深く読んだのは座談会で、récit(物語)としてBDを読む楽しみや、フランスではクリスマスや誕生日に親から子へのプレゼントとしてBDを贈るという話に、なるほどと思いました。私も当ブログを書きながら少しずつBDを読んでいますが、モノクロ長編のものは辞書を引きながら物語にぐいぐいと引き込まれる楽しみがありますし、ハードカバーでフルカラーのアルバムは確かにプレゼントとして魅力的ですものね。ただ、個人的な悩みとして、どうしても単語が覚えられず何回も辞書で同じところを引いたり、日本語能力の問題もあるのですが、心の中でうまく日本語に変換できなかったりと、密かに悲しい思いをしているので、前回のエントリで取り上げたNHK教育のテキストと併せて、頑張ってコツコツ勉強したいと思います。

 また、最近の「ふらんす」誌は、毎月、表紙と記事でBD作品を紹介していて、今回取り上げられているのは、Lewis Trondhaim(ルイス・トロンダイム)による「Les formidables aventures de Lapinot(ラピノの素晴らしい冒険)」シリーズ最終巻の「L'accélérateur atomique(原子加速器)」。表紙の写真からもお分かりの通り、「Spirou et Fantasio(スピルーとファンタジオ)」へのオマージュで、いつか読んでみたい1冊です。

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2009年8月22日 (土)

NHK「テレビでフランス語」でメビウスインタビュー

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 現在発売中のNHK教育テレビのテキスト「テレビでフランス語」9月号にメビウスのインタビュー誌上再録が載っていたので、取り急ぎご報告。なお、TV放映は8月27日放送、8月29日再放送だそうです。

●NHK語学番組 テレビでフランス語のページ
 「8月27日(木・水曜深夜)午前0時からの放送は、特集番組編成のため午前0時30分からに変更となります。」とのことで、放映時間は念のため事前に確認しておいた方が良いかも知れません。

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より以前の記事一覧