アメリカ(及び英語圏)

2008年2月10日 (日)

Schulz's Youth

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Schulz's Youth(シュルツの若い頃、About Comics社、2007年刊)
作画:Charles M. Schulz(チャールズ・M・シュルツ、1922-2000)
版元About Comics社の紹介ページ

 スヌーピーやチャーリー・ブラウンの「PEANUTS(ピーナッツ)」シリーズの作者チャールズ・シュルツによる、1950~60年代の一コマ漫画を集めた本。メインで収録されているのは、教会の出版部門The Gospel Trumpet Company(後のWarner Press)社の雑誌「Youth」に1955年~65年に連載された「Young Pillars」。ヒョロッとしたルックスのティーンエイジャーの男の子を主人公に、教会や学校や家庭やデートといった、日常生活の一コマが描かれています。絵に添えられたセリフを読んでみると、ほのぼのとして微笑ましいものが多いようで、アメリカの古き良き時代ののんびりした空気が伝わってきます。外国の一コマ~四コマ漫画でよく経験することですが、今ひとつしっくりした日本語訳が浮かばないものや、元ネタの分からないもの、言わんとすることは分かるのだけど何が面白いのか分からないものもありましたが、そういう時は絵を眺めているだけでも心がなごみました。高校生や大人ばかりが登場するので、同じ筆致なのに「PEANUTS」とは少々異なった雰囲気があります。それに、10年分の作品を掲載しているだけあって、一冊で絵柄の変遷が手に取るように分かるのもまた、面白いものです。

 この本は、JournalistaTodd’s Blogで知りました。amazon.co.jpでペーパーバックを購入したのですが(→こちら)、表紙の画像が異なっていました。15.2センチ×15.2センチ×厚さ1.4センチと、コンパクトで読みやすいサイズなのですが、惜しむらくは紙質が良くないです。薄っぺらくて裏面が透けて見えちゃう。でも、だからこそ値段を低めに抑えているのかも知れませんし、これまで刊行されなかった貴重な作品群が入手可能なのは有り難いものですね。

 併せて収録されているのは「Youth Fellowship Convention illustrations」「The Two-by-Fours cartoons and illustrations」「The Reach cartoons」。「The Two-by-Fours~」には「PEANUTS」シリーズで見慣れた絵柄の子供達が描かれています。

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2007年10月27日 (土)

「Lucky Luke」新旧アニメ映画

▼Tous à l'Ouest : une aventure de Lucky Luke
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 当ブログ8月12日付け記事で取り上げた「Lucky Luke(リュッキー・リュック、英語読みならラッキー・ルーク)」のアニメ映画、12月5日の公開に向けて、公式サイトはパワーアップし(重いですよ)、ALLOCINE.COM内の特設ページには新しい予告編が!実はまだストーリーを良く知らないのですが、テンション高くてわくわくしますね!日本では公開しないのかな。出来れば大きなスクリーンで見てみたいものですが…


▼Lucky Luke, les Dalton en cavale
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 ALLOCINE.COMでもう一つ、昔のアニメ映画の記事を見つけました。1983年制作で、原作者であるベルギーの漫画家Morrisと、Hanna-Barberaプロダクションとの共作。おそらくこちらの方が原作のイメージに近いのでしょう。でも原作になじみの無い身には、こっちのLucky Lukeは、ちょっとおっかないっす。

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2007年10月 4日 (木)

「ペルセポリス:PERSEPOLIS」映画その後

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●映画『ペルセポリス:PERSEPOLIS』公式サイト
●米アカデミー授賞式にフランス映画『ペルセポリス』 ユニフランスより)
●英語版公式サイト

 2006年12月27日付け記事でご紹介した、「ペルセポリス」アニメ映画のその後。フランスのカンヌ映画祭で審査員特別賞を受賞した話は日本でも話題になっていたのでご存知の方も多いかと思います。そして、フランスでは100万人を超える観客動員数を記録するヒット作となり、日本では2008年正月公開予定だそうです。更にアメリカでは、来年2月に行われる米アカデミー授賞式で、フランスを代表してこの映画が上映されることが決定し、アカデミー賞の最優秀外国映画賞と最優秀アニメーション映画賞へのノミネートも有望視されているとのこと。何だかすごく評判が良いですね。

 アメリカといえば、この映画の原作も英語に翻訳されて好評のようです。以前、雑誌「ニューズウィーク日本版」で取り上げられているのを図書館で見かけました。うちの近所の図書館は昔の雑誌は保存してくれないので現物をチェックすることが困難なのですが、ネットを検索してみた所、おそらく2005/08/31発売号 (9/7号)の中の「文学の未来はコミックにあり 「グラフィック小説」は低迷する出版界の救世主になれるか ?」という記事だったと思います。また、英語版の元記事はAug. 22, 2005 issueのこの記事ではないかと思われます。(でも違ってたらゴメンなさいね。)

 原作は以前図書館で借りて読んだことがあるのですが、近年のイラン情勢の元で苦難を強いられる人々の話や、女性として生きていく上での種々の悩みなど、新たに知ることもあれば環境の違いを超えて共感することもありました。映画の予告編を初めて見たとき、正直なところ、イスラム社会の息苦しさとアメリカ文化へのあこがればかりが強調されて違和感を感じたものでしたが、「allocine.com」の特設ページ内の「Bandes Annonces」の他のサンプル動画を見ていると、それは本編のごく一部なんでしょうね。いずれにせよ、来年の日本公開が楽しみです。


 最後にちょっと蛇足なのですが、上記「ニューズウィーク日本版」記事の「グラフィック小説」という言葉について。要はアメリカの漫画のいちジャンルである「グラフィック・ノベル」のことなんですが、こういう漫画用語ってなかなか定着しづらいですね。First Second Booksというアメリカの出版社の日本語ページ(→こちら)でも律儀に「グラフィック小説」と訳していますし。私自身、初めて「グラフィック・ノベル」という言葉を目にしたとき「漫画なのになぜ『小説』と言う?」と、しばらく違和感がぬぐえず、やがて「そういうものか」と慣れていった次第ではありますが(麻痺したとも言えるかも)、こういう用語ひとつで、日本とアメリカの漫画観の違いを垣間見た思いです。

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2007年1月 4日 (木)

「週刊少年ジャンプ」とアメリカン・コミック

 「思い出の週刊少年ジャンプ」(創刊号からの表紙サムネイル画像や目次をはじめ、ジャンプに関する情報が盛りだくさんのファンサイト)というサイトを覗いていたら、ジャンプを愛読していた頃が懐かしくなったので、当時の編集長・西村繁雄氏の著書「さらば わが青春の『少年ジャンプ』」と「まんが編集術」を読んでみました。前者は著者が入社~退職までの回想記、後者は当時の愛読者4人からのインタビューをまとめたものです。それぞれ、作り手からの視点と読者からの視点で描かれていて、双方の熱い思いがびっしりとした情報量を伴って現れてきます。私は主に1980年代の愛読者だったのですが、その頃の話は懐かしく感じられ、他の時代の見たことのない作品についての解説もまた、面白く感じられました。

 しかし、これらのサイトや書籍でも話題にならない作品群がある。創刊号からしばらくの間掲載された、一連のアメリカン・コミックです。上述の「思い出の週刊少年ジャンプ」や「まんが編集術」にはジャンプ掲載作品のリストが載っているので、それらをもとに書き出してみました。

-「フラッシュゴードン」(作:ダン・バリー、1968年創刊号)
-「魔術探偵マンドレーク」(作:フレッド・フレドリック、1968年2号)
-「秘密諜報員コリガン」(作:アル・ウィリアム、1968年3号)
-「宇宙ロボット戦争」(作:ダン・バリー、1968年4号)
-「空飛ぶ円盤を追跡せよ」(作:フレッド・フレドリック、1968年5号)
-「洗脳機をぶっこわせ」(作:アル・ウィリアム、1968年7号)
-「第8秘密結社」(作:フレッド・フレドリック、1968年9号)

 では、これらの作品群の原著はどのようなものなのか。それらしい作者・作品の画像の載っているページを調べてみました。しかし、私自身はジャンプに掲載された作品群を実際に見たことがないものですから、以下の文章はすべて憶測に混じりになってしまいます。何とぞ、ご了解・ご注意下さいますよう、よろしくお願い致します。また、アメリカン・コミックの画像を見るなら「Comic Art Fans」というサイトが便利ですが、高解像度スキャンゆえ鮮明だけど重いので、その点ご注意下さい。

●「フラッシュゴードン」(作:ダン・バリー)
「Flash Gordon」(作:Dan Barry)
▼「Flash Gordon」について
英語版wikipedia
▼Dan Barryについて
英語版wikipedia
lambiekによる紹介
《画像》Dan Barry :: Flash Gordon 4/1/63 daily strip (original panel)

●「魔術探偵マンドレーク」(作:フレッド・フレドリック)
「Mandrake the Magician」(作:Fred Fredericks)
▼「Mandrake the Magician」について
英語版wikipedia
▼Fred Fredericksについて
英語版wikipedia
lambiekによる紹介
《画像》COMIC STRIP-DAILIES/TOPPERS :: Fred Fredericks Mandrake 1968

●「秘密諜報員コリガン」(作:アル・ウィリアム)
「Secret Agent Corrigan」(作:Al Williamson)
▼「Secret Agent Corrigan」(『Secret Agent X-9』が後に改題されたもの)について
英語版wikipedia
▼Al Williamsonについて
英語版wikipedia
lambiekによる紹介
《画像》Williamson, Al :: Williamson, Al - Secret Agent Corrigan 4-20-67

 「宇宙ロボット戦争」「空飛ぶ円盤を追跡せよ」「洗脳機をぶっこわせ」「第8秘密結社」については、「週刊少年JUMP最強データを夢見て覚めない落石総研」というサイトの「週刊少年ジャンプデータ集」内の「目次目録」のページによると、それぞれ上の3作品の同作者による同じシリーズのようです。

 さて、これらのアメリカン・コミック、「さらば~」の前書き「プロローグにかえて」で創刊号の作品を列挙した上で次のように述べられていました。「横文字の漫画は、少ない編集予算と人員をカバーするため、知人のいる通信社から安い値段で掲載権を買ったもの」とのことで、特に海外コミックを取り入れたいというのでもなかったようです。むしろ、この「横文字の漫画」という表現を深読みすると、アメリカの漫画への関心の低さと言うよりも、むしろ反発しているような印象を受けたりして……そういえば、昔のジャンプの連載作品にはアメリカへの反発を感じさせるものが多いような気がします。「包丁人味平」に出てくるアメリカ仕込みの実業家・マイク赤木とか、「サーキットの狼」で日本の幻の名車TOYOTA 2000GTに乗る隼人ピーターソンとか、いちはやく沖縄基地問題を取り上げた「ドーベルマン刑事」の沖縄コネクション編とか、日米対決するバトルもの等々……。

 ところで、アメリカの漫画といえばセリフは横書きだしページやコマの順番が日本のと異なりますが、どのようなスタイルで掲載していたのでしょう。上に挙げたサイトや書籍からはその辺りは何も書いてなくて、当時の読者からの特記事項が無いということは、やはり日本風にレイアウトし直したのでしょうか。また、たとえ本意では無かったであろうとしても、掲載にあたっては編集者なりの選択眼が働いたことだろうし、当時の読者からは(良くも悪くも)感想が挙がって来ないということは、特に違和感もなく受け止められていたとも考えられるので、これらのアメコミ作品には、もしかしたらジャンプの作品群との共通性・親和性があるのかも知れませんよ。

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2006年12月 4日 (月)

Corto Maltese:La ballade de la mer salée

▼仏語版▼英語版
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Corto Maltese:
La ballade de la mer salée
(仏語版、casterman社、2000年刊)
Ballad of the salt sea(英語版、the harvill press社、1996年刊)
(コルト・マルテーズ:塩辛い海のバラード)
作者:Hugo Pratt(ユーゴ・プラット、1927-1995)
初出:「Sgt. Kirk」No.1(1967)-No.20(1969)(イタリアの雑誌、原題:Una ballata del mare salato
(初出のデータは、こちらのページを参考にしました)


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《あらすじ》
 1913年11月から1915年1月にかけて、世界最大の海・太平洋で起こった出来事。
 Raspoutine(ラスプーチン)を船長とする双胴船がオセアニアを航海中、難破船に遭遇する。生存者はいとこ同士の少年少女で、名前はCaïn(カイン)とPandora(パンドラ)と言った。Corto Maltese(コルト・マルテーズ)はRaspoutineと共に、オセアニア周辺海域(フィジー、サモア、トンガ…etc.)の原住民を船員に用いて船舶を襲って燃料や金品を奪う、いわゆる海賊だった。CaïnとPandoraは身代金目当ての人質として監視下に置かれる。
 海賊の頭領は「Le Moine(モワーヌ、修道士)」と呼ばれる、頭巾で顔を隠した謎の西洋人。誰も知らない秘密の島「L'Escondida(エスコンディーダ、スペイン語で"隠れた(英語で言うところのhidden)"の意味)」を根城に、原住民を近代兵器で武装させて、王として君臨していた。
 Moineは第一次大戦直前のドイツ軍と手を結び、イギリス船を襲撃して得た石炭や基地用の土地を提供することになった。ドイツ軍からはSlütter中尉(スリュッテール)が派遣される。
 こうしてEscondida島を舞台に、様々な国家・民族の人々が集結し、対決やドラマが生まれる。しかし、やがてイギリス軍にその存在を知られることになり…


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《感想など》
 「Corto Maltese」はイタリアやフランスを始めとする、ヨーロッパで人気のシリーズ。これはその第1話です。日本やアメリカで流行らなかったのは、ひとえに絵が荒っぽいからではないかと思うのですが(格好良いなぁと思うときもあれば、もうすこし落ち着いて描いてくれないかと思うときもあり)、セリフをじっくり読んでみると、いやなかなか面白かったです。

 得体の知れないMoineやイギリス人のCorto、ロシア人のRaspoutine、日本からの脱走兵Taki Jap(タキ・ジャップ)等、祖国を捨てた男達の集うEscondida島は一種異様な世界。作者のHugo Prattはコンラッドやスチーブンソンの小説に影響を受けているそうなんですが、Escondida島で暮らす原住民達は小説「闇の奥」とは違って、参謀のCranio(クラニオ)や世話係のSbrindolin(スブリンドラン)を筆頭に明朗快活でしたたかさを持ち、西洋人から学んだ知識を吸収して密かに独立の時期を伺っています。そんな中、戦時下の大国の思惑に翻弄されるドイツ人将校Slütterや、この異様な世界の人々との交流を経て成長していくCaïnやPandora、これらのドラマを包み込む海と神秘的な交流を持つマオリ族の少年Tarao(タラオ)が語る物語等、この1冊には多くの魅力が込められています。
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 最初、パラッと全体を一瞥してみたところ「何か血の気の多い話だな」と思ったのですが、その大きな要因のひとつに、Corto Malteseが計4回、殺されかかっているというのが挙げられます。Corto Malteseという男は、やけに殺意を沸かされるキャラクターと言えると思います。でも、至近距離から弾丸を食らっても崖から突き落とされてもケガしただけでピンピンしているとは、非常にタフです。しかも、そういう相手と友情を交わす場面もあり、その懐の深さや楽天的なところは常軌を逸しているようにも思います。Cortoに限らず、描かれるキャラクターや出来事及び絵柄には、日本のマンガを読み慣れた身には常軌を逸した所が多々見受けられて面白く感じました。しかし、20世紀初頭を舞台として、国家や民族や人種やイデオロギーのぶつかり合いの混沌とした世界の中で様々な葛藤を経て交わされるセリフの数々には、心に染みるものがありました。エキゾチックな世界の中、漫画の娯楽的な要素と、シリアスかつシビアな題材とが混ざり合って、この作者独特の世界を構築しています。また、日本のマンガ用語で言うところの“キャラが立っている”ところにも惹き付けられました。
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 私はフランス語版(白黒版)を何年か前にAmazon.frで買ったのですが、A4サイズ163ページというボリュームの上にフランス語がびっしりと書かれているコマもあって、読みこなすのに難儀していた所、ネット古書店Abebooksで英語版(状態が悪かったので安く買えた掘り出し物)をゲットしたので、その助けを借りて読み終えました。英語版は長らく絶版になっていましたが、この度、何と、アメリカはHeavyMetal社より翻訳し直して刊行されるのだそうです(→詳細はこちらや、こちらなど)。判型が小さくなってしまうというのが残念なんですが、興味のある方はこの機会に是非ご一読を。まだAmazon.comにもAmazon.co.jpにも上がっていないんですが、入荷して欲しいものです。

 「Corto Maltese」は約20年間続いた長期シリーズなので多くのアルバムが刊行されていますが、最初にどれを読むかといえば、やっぱり、この第1話がおすすめです。シリーズ最後の方は絵が更に荒っぽくなってしまっているので、ページをにらめっこしながら辞書を引いている身には辛いものがあります。でも、どんな事が語られているかが非常に気になるので、セリフとかスラスラ読めるようになりたいものです。

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2006年6月 7日 (水)

Superman"For Tomorrow",Brian Azzarello インタビュー

SUPER-STARS (PART 8): AZZARELLO SEEKS TO BRING INSPIRATION BACK TO "SUPERMAN"

 海外コミックとアメコミ情報サイト「Planet Comics.jp」に日本語版の新刊情報(→こちら)が載っていた「スーパーマン:フォー・トゥモロー #1」のシナリオライター、Brian Azzarello氏のインタビュー記事です。Jim Lee氏による画像もいくつか載っています。2年前の4月、この記事を見て、月末に原宿のアメコミショップ(現在は渋谷に移転)でリーフを買ったものでした。画像も魅力的だったし、文中に「I want to write a Superman story that somebody who doesn't read Superman comics will understand.」と書いてあって「そういえば私、スーパーマンの漫画って読んだことなかったな」と思ったものですから。でも、この機会に読み返そうかなーと思ったら、いくら探しても見つからなくてショック(泣)。

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2006年2月12日 (日)

イランの漫画サイト

The first information center of Iranian Cartoons on web

 イランの漫画サイト。英語で書いてあります。イランの漫画の歴史も載っています(→こちら)。もっとも、「漫画」と言っても、ここでは1枚で完結する風刺画を指します。あと、FLASH作品がいくつか。イラン以外の作家の作品も数多く載っています。

 今、世界中で問題になっている、イスラム教預言者ムハンマドの風刺漫画に対する抗議文も載っていました(→こちら)。文章の最後には「We also suggest to them seeking on the life of the prophet for better knowing it before putting forth a judgment without base.(我々はまた、根拠の無い判断を提示する前に、預言者の生き方についてより良く知るための探求を提案する。)」と書いてありました。また、最近日本の報道でも話題になった、ホロコースト風刺漫画コンテストについては「Coming Soon!」とのことでした。これから作品が集まっていくのでしょうか。


 一方、アメリカの風刺漫画サイト「Daryl Cagle's Professional Cartoonists Index」内のブログ「Cagle's Web Log!」には連日、この件に関する漫画が掲載されています。パッと見たところ、そのほとんどがイスラム教徒の行いを批判するものばかりで、アメリカの大量漫画攻勢といった趣すら感じてしまうのですが、たまに違う意見の作品もありました。でも、上述のイランの漫画サイトで言っていた「預言者の生き方についてより良く知るための探求」のようなものは見あたらず。そういうのは漫画にしても面白味が無いから、とでも言うのでしょうか。


【2月14日追記】…と、↑のように呑気な文章を書いてはみたのですが、というか、「漫画戦争勃発!アメリカの大量攻勢にイランの反撃やいかに?」などと呑気なとらえ方をしたかったのですが、こちらのブログによると現実は厳しい。この一件は単に漫画の表現に関する問題というよりも、漫画が厳しい現実を反映したに過ぎないような気がしてきました。

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2005年12月 6日 (火)

FLAMING CARROT COMICS

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FLAMING CARROT COMICS No.4(#36 in series)
作者:BOB BURDEN
サイト:Bob Burden's FLAMING CARROT COMICS - America's Surrealist Superhero

 「Flaming Carrot」は、さびれた鉄鋼業の町「Iron City」に暮らすブルーカラーのヒーロー。頭のてっぺんに炎を揺らし、足にはフリッパーを履いています。他のスーパーヒーローのようなスーパーパワーというものは持っていませんが、瞑想して「ZEN STUPIDITY」の境地に達することで、様々な困難に立ち向かっていきます。

 …といった調子で、不条理な物語がハードボイルドな語り口に載せて展開していきます。読んでいて、段々と脳みそが心地よく緩んできました。初めて読んでみたのですが、実は、1979年に誕生した息の長いシリーズなのですね。


 今回ご紹介したのは、アメコミの、いわゆる「リーフ」(薄い冊子)です。あれは7月末のこと、涼みがてら入った都心の大手アメコミショップの地下売り場で「PREVIEWS」という通販カタログみたいな冊子を貰ったので、色々と注文してみた内の1冊です。8月下旬〆で注文したのが11月上旬にお店に入荷という、最新刊のアメコミを買うためには、気長に待たねばいかんのですね。(まだ届かないものもあるしー…)

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2005年10月30日 (日)

SPY vs SPY THE COMPLETE CASEBOOK

"SPY vs SPY THE COMPLETE CASEBOOK"
著者:Antonio Prohias(1921-1998)
出版社:WATSON GUPTILL

▼表紙▼裏表紙
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 「SPY vs SPY」は、アメリカは「MAD MAGAZINE」で1961年に連載が開始された、白黒スパイがあの手この手で謀略の限りを尽くして戦い合う、セリフの無い漫画。この本は連載40周年を記念して作られたトリビュート本で、「SPY vs SPY」の漫画に関してのあらゆる情報を網羅した分厚い1冊です。

 ファミコンやゲームボーイでゲーム化されたので、このキャラクターに見覚えのある方は多いことと思います。或いは、ケーブルテレビ等で放映されている「MAD TV」の最後の方で、数十秒のアニメーションが流れているのを目にしたことのある方もいらっしゃるかもしれません。また、ネットのあちこちでは海外の「Mountain Dew」のCM映像が話題になっていました(→こちら)。


 さてこの本、裏表紙が何とも強烈。キューバの指導者カストロ議長の吸っている葉巻には「MAD」誌のトレードマークの坊やのラベルが貼ってあります。いちばん上には「The Cold War May Be Over, But The Lukewarm War Rages On!」(冷戦は終わったかも知れないが、なまぬるい戦争が荒れ狂う!)との一文が。因みにこの本の出版年は2001年、“9.11”の一年前。今ならまた違った文面になったかもしれません。

 この本に収められた当時の「MAD」編集者のコラムによると、作者のAntonio Prohiasは、もともとはキューバのベテラン漫画家。1938年にデビューし、新聞の風刺漫画や「El Hombre Siniestro(英語で言えばThe Sinister Man、Sinisterとは不吉な、意地悪なという意味)」等のブラックユーモア作品を発表し、多くの漫画賞を受賞しました。また、1958年と1959年にはキューバ漫画家協会の会長も務めました。しかし、カストロ及び共産主義者を批判する風刺漫画を新聞に発表したために、カストロの不興を買い、新聞は没収され、人々から非難や脅迫を受け、1960年5月にキューバを出国、ニューヨークに渡りました。そして昼間は衣料品工場で働き、夜は「SPY vs SPY」の第1回の原稿を描き、同年7月に通訳(英語が喋れないから)に娘を伴って「MAD」編集部に持ち込んだところ好評を博し、翌年の1月号から連載が始まったのだそうです。

 「SPY vs SPY」の着想を得たのは、カストロを支持しない者はスパイ扱いされたことに起因したとのこと。また、Prohiasはキューバ時代からサイレント漫画を描いていましたが、そのことによりアメリカで言葉の問題を克服することが出来たとか。ただし、作品を創る上では克服できても、日常生活では英語はあまり喋れなかったそうです。連載当初から3年間、冒頭の煽り文句には、作者がキューバの有名なアンチ・カストロ漫画家でアメリカに亡命してきたことが書いてありました。どういういきさつで煽り文句を廃止したのかは分かりませんが、そういう背景を知らなくても、十分に面白く読める作品だど思います。私自身、過去にこちらで書いたように、この作品にそんないきさつがあったなんて知らなかったですし。


 本書の内容は、以下の通り。
▼漫画、イラスト、写真
・Antonio Prohiasによる「SPY vs SPY」全241話
・「MAD」誌に発表した他の作品
・キューバ時代の漫画作品
・未発表原稿、スケッチ
・グッズ一覧
・他の漫画家による「SPY vs SPY」
▼文章記事(謝辞、Antonio Prohiasの談話や写真を交えたコラム、エッセイ)
・Acknowledgements (Charles Kochman)
・Introduction (Grant Geissman)
・A Cartoonist in Times of Revolution and Censorship(Fabiola Santiago)
・Snapshots of My Father (Marta Rosa Pizarro)
・The Old Pro (Nick Meglin)
・Yin and Yang, Cold War Style (Art Spiegelman)
・The Other Spy Guy (Duck Edwing)
・"Spy vs. Spy" and Me (Peter Kuper)


 この「SPY vs SPY」という漫画、毎回お互いを陥れる策略やメカデザインの手が込んでいて、よくもまぁ毎回毎回、バラエティに富んだおちょくりネタを考えたものだなぁと、そのおちょくりに懸ける職人魂に敬服しました。キューバ時代の作品や、アメリカ時代の他の作品もいくつか載っているのですが、一貫してあらゆるものをおちょくっていました。また、几帳面な作画や没にされたキャラクターへのオマージュのイラストを見ていると、漫画に対する深い熱意と執着と愛情が感じられました。

 また、ギャグ作りへの強いこだわりが感じられたのが、「gray spy」に関するエピソード。白黒スパイの双方を陥れるファム・ファタールとして1962年に灰色スパイが登場するのですが、何回か登場した後、1965年を最後に姿を消します。その理由は「(展開が)ルーチン化してしまい、オチが予測できるようになってしまった」からだそうで、女性キャラがいた方が場が華やぐし読者の気を引くと思うのだけれど(もっとも、gray spyはあまり美人ではないけれど)、「キャラ」よりも「ギャグ」を取るProhias氏のこだわりがカッコいい!と思いました。


 Antonio Prohiasが晩年に体調を崩して以降、「Spy vs Spy」は他の作家によって描かれるようになりました。たまに「gray spy」も出てきます。現在「MAD」誌ではPeter Kuperという方が描いています。ステンシルやスプレーを用いた絵はとても良く出来ていて、特にカラーのものはすごく綺麗なんですが、内容がちょっと残虐過ぎて抵抗があるなぁ…




【2006年11月6日夜・追記】

 先日、Wikipedia「スパイvsスパイ」の項目に、このエントリを切り貼りしてところどころ表記を書き換えたように見受けられる文章が、参照元の記載も無しにUPされたため、この欄に抗議文を掲載しました。その結果、Wikipediaの文章は削除され、執筆者の方からはお詫びのメールも頂いたので、その抗議文は削除しました。

 なので、第三者からの検証が不可能な状態(当分はgoogleのキャッシュに残っているかも知れませんが)ではありますが、それでも、こちらの削除依頼の議論に対して異議を述べさせて頂きます。執筆者の方の「翻案転載に当たるかどうかコミュニティの判断を仰ぎたく」という提案に対して、一部表記を変えている以上、確かに「転載」には当たらないでしょう。しかし「翻案」に当たるか当たらないかについては、明言されずじまいでした。「問題があるとすればシングルソースであると言うことくらい」とのことですが、もし複数のソースがあるなら、私は私のエントリからのソース部分についてのみ抗議したことでしょう。そして、著作権についての議論なのに「表現を細かく見てませんが」というのは一体どういうことなのでしょう。著作権法第二条第1項第一号において定義されている通り、著作物とは「思想又は感情を創作的に表現したもの」であり、表現を保護する権利なのではないのですか。

 このエントリは著作権法第十条第1項第一号の「言語の著作物」にあたるものであり、第2項「事実の伝達にすぎない雑報」のつもりはありません。また、当エントリから抜き書きされた作者・作品に関する記述に対しても、これが誰でも結果的には同じ記述になってしまうような事実の列記に過ぎないのであれば「ある事実を得るためになされた努力を著作権法は保護しませんから」という意見も成り立つでしょう。しかし、同じ作品・作家について語っても、英語版Wikipediaの記述と当エントリとではかなり態様が異なっています。私は、私なりの感想や考察を書くために原著から選択して翻訳・要約したのであり、その記述や選択において創作性を主張します。だから、このエントリから抜粋して一部表記を変えたかのような文章に対し、その類似性を指摘し抗議したのです。

 しかし、Wikipediaのコミュニティの方々の考えでは、当エントリを切り貼りした文章と内容の類似が見てとれるのに、文面を変えたら新たな著作物が誕生し、参照元の記載の必要は無いという考えなのでしょう。納得できませんが、議論する気はありません。

 当ブログのエントリについては、諸法規・諸慣行に沿った形であればご自由に利用して頂いて構いません(あえて言うまでもないことですが)が、今後、Wikipediaへの利用は一切お断り申し上げます。コミュニティの方々と意見が合わないということもありますが、それ以前に、私は私なりの感想や考察が書きたくてこのブログのエントリを書いているのであり、Wikipediaのような客観性が求められるような記事に部分的に利用されるのは不本意だからです。Wikipedia執筆者の方々におかれましては、このブログで挙げられた原著等の文献を読まれた上で執筆者なりの独自の記述をし、その文献一覧と共に記事を公開すべきなのではないかと思いますがいかがでしょうか。法的拘束力を一切持たないお願いごとではありますが、何卒ご配慮賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

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2005年7月16日 (土)

ロイ・リキテンスタイン氏の元ネタ

DECONSTRUCTING ROY LICHTENSTEIN
(画像が大量に載っていて激しく重いページ!フォルダに保存したところ、10.3MBと出ました)

 漫画をモチーフにしたポップアートでおなじみ、故ロイ・リキテンスタイン氏の絵と元ネタの比較画像を載せたページ。「Weekly Teinou 蜂 Woman」6月20付け記事で知りました。この記事が出た後、上のページは閲覧不能になっていて「ああ、出遅れてしまったなぁ」と思ったのですが、先程見たら復活していました。興味のある方は、激重なページですが、がんばって見てみる価値ありです。

 一方、本家ロイ・リキテンスタイン氏の公式サイトもありました。
 The Roy Lichtenstein Foundation
 文章・画像ともに非常に充実しています。まるごとCD-ROMで売ってくれたら買ってもいいな、と思いました。

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