2012年3月12日 (月)

「CARTOON」のサイトから、ヨーロッパのアニメ映画情報を

 twitterで、スペインアニメ映画「Arrugas(皺、パコ・ロカの漫画のアニメ化、→当ブログ2011年12月 5日付け記事で取り上げました)」のプロデューサー、Manuel Cristóbal(マヌエル・クリストバル、@manuxcristobal)氏をフォローしていたところ、先日フランスはリヨンで開かれた「Cartoon Movie」という見本市で「Producer of the Year」を受賞したとのこと。おめでとうございます!(→YouTubeのインタビュー映像)そして、このイベントの公式サイトを見るとヨーロッパのアニメ映画の世界が見えてくるので、ご報告する次第です。(そして、東京アニメフェアにいらっしゃるの?誰か是非、日本で上映して欲しいです。)


▼CARTOON - European Association of Animation Film : Home page.
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 「CARTOON」というのは、ヨーロッパのアニメ産業をサポートする非営利団体で、4つの部門に分かれていて、今回取り上げる「Cartoon Movie」は、そのひとつ。単なる見本市やお祭りではなく、長編映画のプロデューサーが、自身のプロジェクトを進めるにあたって、資金調達を早める目的や、国境を越えたパートナーや国際的な配給会社や販売代理店を見つけるための機会を得る場となっているそうです。

 そして、2012年の選考作品が「Selected projects in 2012」に一覧があります。「Completed films」「Films in production」「Projects in development」「Projects in concept」の4つの区分けがあり、この一覧が結構、面白いのです。サムネイル画像にマウスポインタをあてると大きな画像がポップアップ表示されますし、制作会社のリンクをクリックすると、更に詳しい情報も。そこで、気になった作品をピックアップしてご紹介します。


▼ZARAFA-LEFILM.COM
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 この作品の監督である、Rémi Bezançon(レミ・ブザンソン)とJean-Christophe Lie(ジャン=クリストフ・リー)が「Directors of the Year」を受賞したとのこと。ovninavi.comに日本語による紹介が。1826年、エジプトからシャルル10世への贈り物としてフランスに渡ったキリンの数奇な運命からインスピレーションを受け、10歳の黒人少年と孤児キリンの友情物語に仕立げたのが本作、とのことです。

▼Le tableau - Le film
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  画家が多少なりとも「描き終えた」カンバスに描かれた未完成の絵には、3種類の人物が暮らしている。Toupin達は自分が優位に立つべく反乱を起こす。彼らの創造主のみが調和を取り戻せると確信して、RamoとLolaとPlumeは捜し物を見つけるために、絵の世界から脱出することに成功する(…合ってる?)。何か塗りが雑だなと思ったのは、そういう訳なのですね。色遣いが綺麗で良い雰囲気をしています。

▼Le Magasin des suicides
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 英題「The Suicide Shop」。2012年9月26日公開で、監督がパトリス・ルコント。…って、昔は漫画を描いていたのですね(→日本語wikipedia)。原作の小説は『ようこそ、自殺用品専門店へ』という題で邦訳も出ているとのこと(参考:業務日誌)。


 その他に気になったプロジェクトは「UNE VIE DE CHAT」の監督による「INSAISISSABLE (英題:PHANTOM BOY)や、エンキ・ビラルによる「Animal’Z(→制作会社の紹介ページ)」や、アルチュール・ド・パンスによる「Zombillenium」などなど。


 また、過去の出展作品で面白そうなものを発見。

▼GAZATO FILMS PRODUCTIONS
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 「11」というタイトルで、画像はパイロット動画より(→こちら)。第一次大戦を描く、11の物語。停戦の日である1918年11月11日11時にちなんでいるそうです。グラフィック担当の中には日本で「夜の蝶」というアニメーション作品集のDVDが出ているラウル・セルヴェや、邦訳が出ているBD『イビクス』のパスカル・ラバテや、昔モーニングに作品が載っていた(と、早稲田大学の2009年度の講演で伺った)エドモン・ボードワンの名前が(※追記有り)。いつ公開なのか分かりませんが、完成が楽しみです。

 果たしてこれらの映画、日本で上映してくれるでしょうか。フランス映画祭あたりで是非是非。


(※3月16日追記)
 twitterで教えていただきました。@kunitatitamami氏邦訳海外コミックリストの中の方)によりますと、ボードァン著『旅 (デラックスコミックス)』という単行本が出ているとのことでした。有り難うございました!そして失礼しました…。

(最終更新日:3月16日)

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2012年3月 7日 (水)

日本のサイトで海外コミック情報を

 近年、海外コミックの邦訳が進むにつれ、ネットでは日本語情報も増えてきました。その中から、継続して情報提供して下さるサイトを、いくつかご紹介します。

▼1000planches :: バンド・デシネ(フランス語圏のマンガ)の情報を日本語で!
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 mixi発、BD (ベーデー)研究会が運営するサイト。初期にはBDのアルバム(単行本)や関連書籍のレビューもありましたが、最近はイベントや邦訳コミック情報に力を入れています。イベント情報は、私も重宝しています。また、twitterを使って「この海外マンガすごい」や「アングレーム国際漫画祭2012 最優秀作品賞予想大会」といったイベントを行っていて、海外コミック邦訳ブームを盛り上げてくれています。

▼euromanga.jp
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 ヨーロッパのマンガの邦訳やコラムが充実している漫画誌『euromanga(ユーロマンガ)』の公式サイト。既刊紹介はもちろんのこと、ニュース記事が充実しています。当ブログが以前はよく取り上げていた(そして挫折した)「ACBD(l'Association des Critiques et Journalistes de Bande Dessinée)」の年間レポートもばっちり紹介してくれます。現在『euromanga』の刊行がストップしているのは残念ですが、単行本「ユーロマンガ・コレクション」を刊行中。かつて邦訳の続編が出なかった『MONSTER モンスター[完全版]』や、日本初邦訳『ムチャチョ ある少年の革命』と、優れたチョイスと言えましょう。

▼BDfile
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 海外コミックの邦訳を積極的に行っているShoProBooksの情報サイト。既刊紹介はもちろんのこと、情報提供も充実。最近の記事でとりわけ目をひいたのは、なんといってもアングレーム国際漫画祭の現地レポート。【アングレーム国際漫画祭特集②】現地レポート/会場案内編によると、当ブログ2011年12月10日付け記事で気になっていた、ラムちゃんが描かれたポスターは実際に使われていた模様(→画像)。えー、でもアングレーム国際漫画祭公式サイトにはこのポスターの画像は一切使われなかったし、持ち帰られたパンフレット(→画像)は、公式サイトにpdfがupされたもの(→こちら)とデザインが違う…!まさか黒歴史化?

▼メディア芸術カレントコンテンツ
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 「マンガ、アニメーション、ゲーム、メディアアートなど、メディア芸術に関する情報をピックアップして掲載するWEBサイト」とのことで、文化庁が監修しているそうです。マンガ情報に海外発のものが充実していて、ライターの野田謙介氏はBDや関連書籍の翻訳の他、当ブログ2007年8月3日付け記事で取り上げた雑誌「Pen」の特集「世界のコミック大研究。」を担当された方ですね(後日の追記が出来なくて申し訳ありません。大事にするあまり、奥の方にしまい込んでしまって…)。現地のサイトがちんぷんかんぷんな身には、とてもためになります。

▼[最新ガイド] 2012 世界中のアニメ/マンガ/コスプレ コンベンション大特集! | をちこちMagazine
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 こちらのサイトで取り上げられているのは、日本のマンガやアニメがいかに海外で人気であるかの紹介なので、当ブログの趣旨とは違うのですが、あまりに世界をまたにかけているので取り上げる次第です。「をちこちMagazine」というのは、以前雑誌が出ていて、今はweb展開している「国際文化交流に関する情報を発信するウェブサイト」。せっかくこれだけ海外コミックが邦訳され、作家が来日したりしているのだから、現地のコミック文化もどんどん取り上げていただければと思います。


 他にも、個人で情報発信をしているブログやサイトは沢山あるかと思います。好きな作家やタイトルで検索すれば、新たな出会いがあるかもしれません。

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2012年2月28日 (火)

ブログが更新できなかった理由のひとつに

 このブログが更新できなかった、そして1年以上更新できなかった理由のひとつを書きます。フェミくさいことを書くと色んな人を敵に回して、場合によってはブログ消滅の危機だから言葉を選ばなきゃと思って、ずっと、少しずつ悩みつつ言葉を探していたのだけど、取り急ぎ苦情を申し上げます。私は、はっきり言ってセクハラを受けたと認識したからです。

 以前「ベカシーヌ」のアニメについて、或るブログに対して、当ブログの分家ブログの情報が、情報元のリンクも提示せずに利用されていることに抗議しました。その返答としては「他の海外サイトの情報も見ている」ということだったので、私の勇み足だと思い、その人には謝罪しました。でも冷静に考えてみたら、だったら海外の情報だけ見てればいいじゃん、こちらの日本語化にかける手間と投資をなんだと思っていのるかと内心憤慨したのです。でも前言をひるがえすのはみっともないから黙っていました。同様に、そのとき、その人は質問を返してきて、私は半日かけて海外のネットを検索して答えたのに、そのブログ主はあたかも自分で調べたかのように自ブログに書くのも黙っていました。やはり同様に「他のサイトで調べた」と言われそうだし、そのブログは愛読者が多いですから。しかも、私の学生時代の友人もその一人で、私にとって、たとえ交流が途絶えていても学生時代の友人はかけがえのない宝物だから、とやかくあげつらう気にはなれなかったのです。

 そしてその後、何を書いても「またパクられるかも…」の恐怖があったのと、体調と精神状態が良くなかったので、一年以上ブログを放置していました。だから、このブログの読者はめっきり減ったことでしょう。

 でもそれだけじゃないんです。

 その人は私が愛好するアニメを性的なまなざしで消費していたんです。この「性的なまなざし」についてはもう少し言葉を費やさないといけないのですが、今はその時間がありません。多かれ少なかれマンガやアニメを性的なまなざしで見るのは別にありふれたことだと思いますが、私個人としてはなるべくそれをしたくなかったのです。当ブログが取り上げるのは「昔の作品」か「子供向けの作品」が多いのはそのためです。敏感な人はそこに何らかの傾向を見るかも知れませんし、自覚はあります。

 で「ベカシーヌ」ですが、何年も前、私はフランスの映画情報データベースサイトを一件一件調べて自分好みのアニメ作品を探しました。そして見つけました。色が綺麗で絵が可愛くて、何より女の人の意志の強さにあこがれたのです。当時は今より言葉がわからなかったし、amazon.frのマーケットプレイスなんて、事故が起きてもフランス語で交渉できる自信もありませんでしたが、それでも私はこの作品が見たかったのです。だから、この作品には愛着があります。字幕がないしあまり聞き取れないのが残念ですが。

 そして話は戻って「性的まなざし」の問題です。きょうびの日本のアニメだったら、女の子が性的魅力をふりまいているから、そういうまなざしで眺めることもあるかと思います。賛否あるかもしれませんが。でも、そういう意図のないアニメをそういう下心で眺める、そしてそれをおおっぴらにするというのは、明らかに「おとしめている」行為でしょう。その気の無い相手に対して「性的まなざし」で眺めるというのは、相手を「性的客体」にフリーズドライさせる欲望だから。相手が二次元キャラだから、不平不満を言わないし劣化もしないけど、人は口ごたえもするし時が過ぎれば変わるという、当たり前の事象を受け入れない横暴さが透けて見えるのです。おまけに、そんなことのために私の感動と労力が使われたときては、私は怒っても良いでしょう。私は性格がクドいので、ぶっちゃけ「人の感動を汚すな」の一言で済むところを、これだけの言葉を費やさなければならないのです。

 そして当ブログの更新が嫌になって一年以上経過したところ、それでも日々、世界には絶えず面白い漫画やアニメが誕生するから、それについて何かしら書きたくなったのです。オタク話は楽しいですものね。で、美少女が出てくる作品だとまた餌食にされるかもしれないが、老人ばかり出てくる作品なら大丈夫かなー、と思っていたところ、どうやら当ブログからリンク情報だけ抜いてツイッターに書き込まれたっぽい。だってタイミングがおかしい。世界的に見て、すっかり鮮度の落ちた情報なのに。そして何人もの人がリツィートしてるという事態を目にしたのです。私が目にしたのはある人のリツイートです。一時期、当ブログをよく引き合いに出してくれた人の。

 私にはそのブログ主が、情報流通の上流にいて優越感にひたりたいがために出典を示さず(だって示したら伝達の上下関係が生まれますもの)、リンクだけを抜き取ったり伝聞調で語るのかなと思えて不愉快でした。確たる証拠はありませんが、以前にも同じ目にあっているんじゃないかと思っています。ただ、情報なんて世界のまわりものだから、そんなチンケなことでガタガタ言う私がおかしいのは十分わかっています。だから、今まで黙っていました。それより、そんなことに文句をつけるエネルギーがあったら、ブログ記事を書くのに費やした方が生産的です。だから、もう一度ブログの休止宣言をしたのです。

 最近になって元気が出てきたので、前エントリにも書いたように、ツイッターを始めました。きっかけは、その「老人ばかり出てくる作品」つまり「Arrugas(皺)」の原作者パコ・ロカ氏の来日です。二回の来日イベントで「皺」のアニメ映画に感動し、パコ・ロカ氏からサインを貰えて、通訳してくださった方経由でお話できて(感謝!)、握手までして貰って、帰り道は本当に有頂天でした。ツイッターにも書いたように「皺」のアニメ映画は、もの悲しいだけではなくコミカルなシーンもあり、見ていて「アニメーションって本当に、辞書にある通り『生気[元気](を与えること)』なのだなぁ。」と、感銘しました。それにパコ・ロカ氏はマジすごいなと思いました。いくつかの作品を拝見し語っていただいたのですが、どの作品も読者の性別や年齢を選ばない。性表現も暴力表現も無いのに、ちっとも退屈じゃなく、むしろ面白いし感動的なのです。

 なので、浮かれた私は「皺」に関していくつものツイートをしました。アニメ映画のプロデューサーに補足されたので、つたないスペイン語でメッセージを書いたらご返事が頂けて更に有頂天です。だから、ツイッターのアドレスをブログに書き込みました。心の隅っこでまた情報を抜き取られるという危惧もありましたが、同じツイッターの中だから、それもあるまいと、たかをくくっていました。

 でも、やられたのですね。一部の情報だけを切り取って、やはり「性的まなざし」で。私の一連のツイートを見ていただけたら「皺」がそれだけの映画じゃないことはおわかりでしょう。なのに、何人かの人がその人のをリツイートしている。おそらく映画を見ていない人ばかりなのでしょう。可哀相に、ごく一部のシーンを見ただけで知った気になっちゃって。でも、そうやって食いつく人がいるということは、この映画は上手く出来ているということなのでしょうね。原作のパコ・ロカ氏、監督のイグナシオ・フェレラス氏、¡Es una obra maravillosa!

 それにしても、前にメールでやりとりした「敬意」うんぬんの話は忘れたのでしょうか。いや、私も自分から「敬意」とか言うのもみっともないとは思ったのだけど、その甲斐もなかったようで。そういう(形容詞省略)人を相手にするのは、私がかわいそうなのですが、この先も継続してこんなことをされるとかなわないので、苦情を申し上げました。

 ブログなりツイッターなりを書き続けていると、この先も何かあるかも知れません。だけど、私は私の言葉を紡ぎたいし、それを届けたい人がいます。いや、このブログ本当に読まれていないのだけど、どこでなにが起こるかわからないし、これまでも素敵な出会いがあったし。

https://twitter.com/#!/sukaponta/status/173230744590757888
https://twitter.com/#!/hyottoko99_jp/status/173002875897782272

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2012年2月25日 (土)

ツイッター使ってみました

 長らく休止状態が続いて本当に申し訳ありません。とりあえず、リハビリとウォーミングアップを兼ねて、ツイッターを使ってみました。取り急ぎ書きたいことがあるときに便利ですね、これ。それに、意外なコミュニケーションがあったりして楽しいです。この先、ブログ同様不規則更新になったり、漫画以外のこともつぶやくことになるかと思いますが、よかったらご笑覧下さいませ。

 https://twitter.com/#!/hyottoko99_jp

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2012年1月10日 (火)

更新遅延のお知らせと新年の抱負

 1年数ヶ月のブランクを経て更新再開したものの、気を抜くとすぐに更新できなくなって、お恥ずかしい限りです。

 なんか頭が働かなくて考えがまとまらないのですが、マイペースで書きつづっていきたいと思います。この先、よそで既に似たようなことが語られていることを書くかもしれませんし(ここは私の個人ブログなので、何が語られているかよりも、私がどのように書いたかが、私にとって何より重要なのです)、これまでは書くのをためらっていた政治的な話やフェミニズムっぽい話題など、人によっては確実に嫌がるだろうなと思われることを書くかもしれません。何がどう書けるか、書いてみなければわかりませんが、お時間を下さい。どうぞよろしくお願いいたします。

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2011年12月14日 (水)

「石子順造的世界 美術発・マンガ経由・キッチュ行」展覧会図録

 この間の日曜日に近くを通りがかったので、府中美術館まで足を伸ばしてみました。石子順造的世界 美術発・マンガ経由・キッチュ行という展覧会が始まったばかりなので、どんなものか気になっていたのです。石子順造といえば、私にとっては、呉智英の文章によって「「すべからく」と「すべて」は意味が違う」と並んで「石子順と石子順造は別人」というのが脳裏に刻み込まれたので名前は知っていたのですが、どんな人かはあまり知らずにいました。マンガ評論は少し読んだことがありましたが、美術評論の方は全然知りませんでした。展覧会の方は後日トークショーのある日に行こうと思っていたのでその日は入らず、受付前のミュージアムショップで図録をチェック。なかなか面白そうだったので購入しました。

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 縦26.7センチ×横18.2センチ×厚さ3センチで全300ページ。圧倒的なボリュームです。twitterで話題になっているのを見かけたのですが(@lacopen氏のツイート)、これで2千円はお買い得かも知れません。何より目を引くのが、つげ義春「ねじ式」の生原稿を採録したページ。切り貼りやホワイトや書き込みが再現されているのも興味深く、大画面なので迫力があります。これまで文庫本で読んでいたのと印象が変わりました。また、展示物の紹介だと思うのですが、図版と解説(石子順造の文章から抜粋)の構成がすっきりと見やすいです。石子の文章の他には、学芸員による解説、関係者の座談会、著書紹介、年譜等が載っていて盛りだくさんです。これからじっくり読みます。


 ところで、府中美術館がある府中の森公園の向かいには有名な廃墟があります。米軍府中基地の跡地です。道をはさんで窓ガラスの割れた建物が、周辺をぐるりと回ると巨大なパラボラアンテナが2基並んでいるのが金網越しに見えます。興味のある方は立ち寄ってみてはいかがでしょうか。ただ、ぐるりと回るには道が入り組んでいる上に敷地が広大だから所要時間がかかるのと、今の季節は日が暮れるのが早いのでご注意を。また、周辺は住宅地なのでご配慮を。
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 そして、東府中駅に向かう途中には航空自衛隊基地があり、屋外に戦闘機が2機展示してあるのが金網ごしに見えます。
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 この一体はかつての陸軍燃料廠で、後に米軍が管理、まだ返還されていない部分が残っているのだそうです。(参考:東京都の米軍基地対策内の都内の米軍基地航空自衛隊府中基地内の府中基地沿革)ただ、廃墟のあたりは返還されていて、国立医薬品食品衛生研究所を移転・建設しようとしたのが凍結されているそうです。(参考:衛生研問題を考える会

(最終更新日:12月18日)

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2011年12月10日 (土)

アングレーム国際漫画祭のポスターにラムちゃん?

 ベルギーのバンドデシネ情報サイトActua BDに「Angoulême 2012 (1/4) : Heureusement, il y a Art Spiegelman ! (アングレーム2012(1/4):幸いなことに、アート・スピーゲルマンがいる!)」と題する記事が載っていて、思わず目を引いたのでご報告します。アート・スピーゲルマンは、日本では『マウス』や『消えたタワーの影のなかで』が刊行されているアメリカの漫画家。フランスで毎年1月の終わりに開催されるバンドデシネの祭典・アングレーム国際漫画祭の第38回(今年)でグランプリを受賞したので、次回第39回の議長(président)を務め、ポスターの作画や審査員などを務めます。そのプログラム発表の際の談話が解説こみで掲載されていて、気になったのは、本文真ん中あたりにupされているポスターの画像。

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 手前にいるのはスピーゲルマン『マウス』のキャラクターで、ipadでロドルフ・テプフェールの漫画を読んでいるそうです。壁に貼られているのは「パリの地下鉄で見られるようなポスター」。重ね貼りしたのをぺりぺりはがしたら、ところどころ漫画のキャラクターが現れました。こういうポスターって、まとめてはがした方がはがしやすいから重ね貼りするというのを聞いたことがあります。描かれているのは世界のクラシックな漫画へのオマージュだそうですが、タンタン以外は明記されていません。そこで私が補足したいと思います。タンタンの右がラムちゃん、顔の下半分が描かれているのはディック・トレイシー。赤に黒の水玉模様のスカートはナンシーか?ポスターの周囲で漫画らしきものを読んでいるのは、イグナッツ・マウスとマルスピラミとミッキーマウスと思われます。このポスターデザイン、本当に使用されるのでしょうか。いずれ公式サイトに(→こちら)にてあきらかになることでしょう。

 アメリカの超大物漫画家がラムちゃんを描いているというのが面白いのですが、それにしてもラムちゃん、ちょっと目と胸が大きすぎないか。欧米の人が描くMANGAキャラクターといえばドラゴンボールの悟空がよく使われていたように思うのですが、ラムちゃんもまたMANGAのアイコンなわけですね。そういえば、ベルギーのオークションでセル画が落札されていました。(→こちら。)500ユーロというのは高いのか安いのか。他にもガッチャマンやキャプテン翼等、日本のアニメのセルが落札されています。ご当地のバンドデシネだと、タンタンが表紙の「Petit Vingtième」(『オトカル王の杖』や『青い蓮』の頃)が落札されていて、相場はよくわかりませんが画像を眺めるのは楽しいです。このPierre Bergé & associéというオークションハウスは、以前「SKECHTRAVEL(→公式サイト)」に使われていて、その落札結果が→こちら。ほんのちょっとだけ中身がおがめますよ。ちなみにPierre Bergé(ピエール・ベルジェ)は、故イヴ・サンローランのパートナー。当ブログ2008年11月11日付け記事で『おてんばルル(La vilaine Lulu)』について書いた際、彼らの財団のサイトが役に立ちました。


(12月18日追記)
 ポスターの大きな画像を見つけました。フランスのニュースサイト「Mediapart」内のブログ12月13日付け記事です。クリックしていくうちに大きな画像が。「art spiegelman」のサインもばっちり。

(最終更新日:12月18日)

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2011年12月 9日 (金)

「Chico & Rita(チコとリタ)」映画公式サイト

▼:: Chico & Rita :: | Estreno 25 Febrero(いきなり音が出るので注意)
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 スペインの長編アニメ映画、2010年公開。日本ではラテンビート映画祭やセルバンテス文化センターで上映されたので、ご覧になった方も多いでしょう。ラテンビート映画祭の紹介ページは→こちら。Javier Mariscal(ハビエル・マリスカル)とFernando Trueba(フェルナンド・トゥルエバ)の共同監督。音楽はBebo Valdés(ベボ・バルデス)。Javier Mariscalはバルセロナ・オリンピックのマスコットキャラクターのコビーをデザインした方で、記憶されている方もいらっしゃることでしょう。Fernando Truebaは「フェルナンド・トルエバ」表記で検索すると日本語版wikipediaや日本で公開された映画がヒットします。Bebo Valdésはキューバのピアニスト、指揮者、作曲家、アレンジャー。1918年生まれで写真が主人公のChicoに似てるような…、と思ったところ、作中のピアノはこの方が弾いているのですね。(参考:electropicoの音楽三昧 今年のラテンビート映画祭唯一の音楽映画「チコとリタ」


 始まりは1948年のハバナ(キューバ)、ジャズピアニストのChico(チコ)と歌手Rita(リタ)との出会い。やがてRitaはスカウトされニューヨークへ。Chicoも後を追うのだけれど、出会いとすれ違いの連続。そして…。
 ジャズミュージックを随所に盛り込んだ映画で、時に場を陽気に盛り上げ、時にしっとりとした情感を醸し出します。中には「そんなところにもジャズ」というシーンもあり、会場から思わず笑い声も。ラストシーンは涙腺がゆるみ、エンディングでは拍手も起こる、いい映画でした。映像も鮮やかな色彩で綺麗なものでしたし、イベント上映だけではもったいないと思います。


 この映画、画風が写実的で、Javier Mariscalの絵とちょっと違う(一部Mariscalの絵っぽいシーンもありますが)…、と思っていたところ、実写から絵を描き起こしているのですね。すべてかどうかは分かりませんが…。
▼'Chico y Rita', una apología del jazz
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 そんなJavier Mariscalの作風が分かるのが、公式サイト(→こちら)。これまでデザインしてきた作品や描いた作品が紹介されています。懐かしのコビー君や「Chico & Rita」のコミカライズも。「Chico & Rita」のバックグラウンドとして興味深いのが、Fernando Trueba監督作品「CALLE 54(54番街)」の関連デザインと、Compay Segundo(コンパイ・セグンド)のプロモーションビデオクリップ。

▼Estudio Mariscal | la negra tomasa
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(最終更新日:12月18日)

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2011年12月 5日 (月)

「Arrugas(皺(しわ))」映画公式サイト

▼Arrugas
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 当ブログ2009年10月17日付け記事で取り上げ、その後邦訳も出版された『Arrugas(邦題:皺(しわ))』がアニメ映画化。原作・共同脚本・デザイン:Paco Roca(パコ・ロカ)、監督・共同脚本:Ignacio Ferreras(イグナシオ・フェレラス)、音楽:Nani García(ナニ・ガルシア)。2012年公開。YouTubeにupされた予告編(→こちら)のコメント欄によると、今年9月のサン・セバスチャン国際映画祭で上映されたとのことなので(映画祭公式サイトの作品情報は→こちら、英語版は→こちら)、もう作品は完成しているのですね。


 イグナシオ・フェレラス監督はアルゼンチン出身。国際的に活躍されている方で、日本にもご縁があります。「東京2008年オンリーピック(→こちら。オリンピックではありません、念為)」の「早打ち携帯 1000文字級」というアニメ作品の監督をしています(→こちら)。ご本人とおぼしきブログ(→こちら)にも、日本のスケッチが。
▼東京オンリーピック公式競技/Ignacio Ferreras「早打ちケータイ1000文字級」(ダイジェスト版)
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 また、短編作品「How to Cope with Death(死神と老婆)」をYouTubeで発見。
▼How to Cope With Death
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 これマジ面白い!「早打ちケータイ1000文字級」のダイジェスト版も思わず笑いが出てきましたが、こちらは更に、見ていて生きる気力がわいてきました。原作者のPaco Rocaと監督のIgnacio Ferreras、ともに老人を描いてきましたが、その融合でどんな作品が生まれるのか楽しみです。日本で劇場公開してくれたら良いと思いますが、せめてラテンビート映画祭かセルバンテス文化センターあたりで上映してくれないものでしょうか。

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2011年11月22日 (火)

『1001 Comics You Must Read Before You Die』特設ミニサイト

 アメコミくえすと・ブログ11月4日付け記事で紹介されていた『1001 Comics You Must Read Before You Die』という本。世界中から選んだ「死ぬ前に読んでおきたいコミック1001作品」とのことで、どんな作品がチョイスされているか知りたいものだなぁ、でもこの本買うには高いし英語の文章読むのしんどいし、リストだけでも分かれば……などと図々しいことを思っていたところ、編集者であるところのPaul Gravett(ポール・グラヴェット、イギリスの方)氏のウェブサイト(→こちら)に特設ミニサイトが設けられているではありませんか!

▼Paul Gravett | 1001 Comics
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 作品リストは、レビュワー別・作品別・作家別(出身国別)・年代別・国別・ジャンル別と、実に細やかに区分けしたものが用意されていて便利です。しかも、書影を追加したり(Updates欄)、コメントを募る(Have Your Say欄)という、細やかな気配りも!

 コメント欄には、何でこの作品を載せる/載せない、作品の国籍(単純に初出の国という訳でも無いのですね…)の他、掲載されたことのお礼(『オールド・ボーイ』の作画をされた嶺岸信明氏のお嬢さんの書き込み)がありました。もしかしたら、掲載作品の作者に通知しているのでしょうか?『ぼのぼの』と作者いがらしみきお氏の総合サイト、ぼのねっと11月15日付け記事にも、この本のことが紹介されていました。


 国別のリストを眺めていると、実に多くの国々から集められているので驚きます。英語に翻訳されているものばかりではないでしょうに、集めるのも読むのも、そして、しまっておくのも大変かと思います。ところどころ、当ブログで紹介されている作品もあって、ちょっと嬉しくなりましたし、見知らぬ名作を探すときの参考になりそうです。邦訳されている作品も多く、もしかしたら今後邦訳される作品も出てくるかも?また、リストをよくよく眺めていると、コメント欄の書き込みをした方々と同様「何であの作品が取り上げられていないのか」「何でこの作品が取り上げられるのか」と思うものもあり、とりわけ日本のマンガに関しては色々な意見が出てくると思います。個人的な感想としては、Paco Rocaが取り上げられていないのが残念。また、東南アジアの作品が少ないのが印象に残りました。


 ……と、こうして私は本も買わずにネット上に挙げられたリストを堪能していたのですが、ふと画面右下に目をやると、見覚えのある画像が。以前買った『The Mammoth Book Of BEST CRIME COMICS』というハードボイルドコミックのアンソロジー集(→こちら)を編集されたのは、この方だったのですね。今頃気がつきました。このアンソロジー集は、後日あらためて取り上げたいと思います。


(最終更新日:12月05日)

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